終わりにしよっかと軽い心中のお誘い

答えがないのは

問いがないからだと気づいた日に

僕らは

過去も未来も異世界も

縦横無尽に駆け回る縁をかなぐり捨てて

ヘモグロビンにさよならを告げた


(だから僕には赤い血が流れていない


果てに見る崖に隔たれているのは

僕か

君か

連鎖の切断に揺れるビークルは

憂鬱を背負い

自由のための知性に縛られる自由への逃走を繰り広げ

結局はそう

約束の地などないと知って獣に落ちて


空っぽのうつわに

なにを注ぐのかと問う


問う

とう

うとうとと

船を漕ぎながら


とう

とう

とうとう君は

星になった


偶然が導く誰かの死と

無関係ではいられない誰かの生

巡り巡る宿命に唆されて

縁に死を知るしかない

鹿の美をもって

胸を貫く冷たい感触だけが

君と僕とが生きた記憶を繋ぐ証


境界線を歩く姿が鏡に映り

反転した二人の君の赴く場所に


耐え難いほど黒い重い

不安に押しつぶされそうな時に


見た光


純粋な闇のなかでは

八キロ先の蝋燭の灯が見えるのだと

君が得意げに言ってた気がする


絶望に理性を失い

再び自然の摂理の奴隷となる僕は

ゆっくり空を見上げた


小さな空から降る白いそれは

かつて誰かの

からだだったのだ

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