恋する運命

小百合の運命

　先輩にキスをすると、なんだか幸せな気分になった。先輩も同じ気持ちなのかな？

　好きな映画が一緒。好きな食べ物も一緒。好きな飲み物も一緒。面白いくらいに好きなものが一致した。

　先輩は、これを運命だって言った。私も、運命だって信じたかった。

　……でもね、先輩。ごめんなさい。こんな出来すぎた運命あるわけないでしょう？　だって、この私が好きなものは全部先輩に合わせたんですから。

　私、先輩のことずっと知ってましたよ。先輩が私を知るよりもずっと前――小学校の時からずっと。先輩を追いかけて中学も高校も決めたんですから。

　先輩のことなら何でも知ってます。好みのタイプ、好きな映画、好むジャンルや展開、好きなお店、休日の過ごし方、交友関係、家族関係……きっと、先輩が知らない先輩のことも知ってます。

　教室で先輩が私の写真を眺めていることも知ってました。思わず、笑ってしまってごめんなさい。

　私が持っている先輩の写真は、そのフォルダの何千倍もあるんです。私の休日の写真を見て驚く振りもしましたが、私、それよりもすごい先輩のお風呂の写真も持ってるんです。

　私は、先輩が好き。大好きです。愛してます。ええ、確かに運命はあるかもしれませんね。でもそれは、先輩の運命じゃなくて私の運命。

　私がこんなにも先輩を愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛しているから、神様がきっと私たちを運命の赤い糸で結んでくれたんです。

　――だからね、先輩。

　せいぜい『運命』を感じて、私をこれからもずっと愛してくださいね？