第689回 こんな馬鹿な閣議決定をするとは―…
夕食の時間。
今日も、きつい修行を終えて、疲れを感じながらも、充実感は若干だがある。
そんななか、また、緊急ニュースが入ってくるのであった。
『今日、閣議によって、日本政府は今回の神信会がおこなうとされる神を滅ぼす能力の持ち主への討伐に協力することを決定いたしました。
そして、早速、クリエイティブ・アルケーより日本政府への技術提供および商品提供を停止を発表。』
何か凄いことになってきているんだが―…。
というか、日本政府よ、俺が討伐されることに協力するのかよ。
神信会だけでなく、日本政府も俺の敵かよ。
俺は、法律の埒外にでも置かれたのだろうか。
もし、そうだと考えるのならば、俺を殺したとしても罪に問われるどころか、許され、かつ、俺を殺した者は称賛されるということですか。そうですか。
ふざけるな!!
家にいる時以外は、敵ばかりということになるし―…。
「ふむ、当たり前の処置じゃの~う。
こんな馬鹿な閣議決定をするとは―…。
神信会に媚び過ぎたがゆえに、自分達の生活も大変なことになるとはの~う。
クリエイティブ・アルケーの技術がなければ、生きていくことさえできない。産業化社会以前に戻す気かの~う。
まあ、暫くの間は、持つであろうが、儂を怒らせた罪はしっかりと償ってもらわないといけないの~う。
裏には、神信会も絡んでおるじゃろう。」
と、アルケーが踏ん反り返るように言っているが、そんなことをすると俺たちの方も大変になるんだけど―…。
クリエイティブ・アルケーのせいで、電力や水道にガスなどは大丈夫かもしれないが、新規の事業および工業生産において、滞ってしまうため、社会が大混乱するのは必須だ。
クリエイティブ・アルケーの生産している物が、何かの物同士をくっつけたり、それを離したりするための技術である。
それを原子以下のレベルでできるのがこの会社以外にないのだ。
まあ、神信会が仕掛けてきたということは、このことを予測して、取引するようにしているだろう。
神信会もそこまで馬鹿だとは思えないし―…。
「まあ、あやつらもそのことを見越して、こちらに多くの注文を昨日まで届けるように発しておったからの~う。」
ということで、アルケーが俺の思っていることを証明してくれるのであった。
さて、こうなってくると、神信会の狙いは俺たちの食糧事情を悪くすることかもしれない。
だが―…。
「今日、電話でいつも、食糧を配達してくる業者が日本政府からの圧力を受けたのか、申し訳なさそうにして、取引を急に打ち切ってきたの~う。
じゃけど、儂は学習しない人間じゃない。
すでに、葉積城台学園の生徒および教師、職員が消費するであろう一年分の食材をすでに確保済みじゃし、かつ、加工食品も同様に確保しておるのじゃ。」
あ~、過去に非常時用の食糧の確保をしていないことが判明した時、に指摘したような―…。
まあ~、そこからここまでの食材および加工食品を―…。
アルケーの人脈というか、葉積城台学園の食糧網、恐ろしや。
アルケーも学習するんだなぁ~。
「あやつら、これから自分達は有利だとか言う嘘情報を大量に流すぞ。
本当に、主神によって滅ぶ前の世界でも同様なことがあったの~う。
戦争の中で―…。」
あ~、そういうことはあるんだな。
「確かに―…。私も世界が滅ぼされた後に知ったことだが、まさかな。
本当に、その情報を知ったあの時、世界が滅びる前の日本政府が信用できなくなるとは―…。
嘘も必要な時があるが、あのような嘘を吐いていたら、国民からの信頼を無くしてしまうことに気づきもしないとは―…。
追い詰められた者ほど、思考が狭窄になるというものか。」
何か言っているけど、聞かなかったことにしよう。
どんな時代にも、馬鹿なことをする奴らはいる。
それが良い方向にはたらけば良いのだが、逆の方向に行ってしまっては、最悪なことになりかねない。
というか、国自体を滅ぼすことだって、世界を滅ぼすことだって十分にあり得るのだから―…。
そして、アルケーと秋歩さんの長ったらしい話が続くのだったが―…。
印堂宝生がこの番組でも解説するようだった。
『クリエイティブ・アルケーはこの世界の崩壊に加担している会社。
その製品がなければ私たちが暮らせないようにしているのです。
だからこそ、クリエイティブ・アルケーの工場および会社へ襲撃し、今こそ、我々の生活に必要なものを我々の元に戻さなければならない。
これは、神のための行いであり、人類の危機から救うためのもの。
さあ、さあ、一緒に―…。』
煽動者が!!!
俺は怒りの感情が湧き上がる。
だけど、こういう煽動をしている奴が、自分が有利じゃない場合のことを考えて、クリエイティブ・アルケーに襲撃しなかったりするか、襲撃しても、敗北するだけなのだ。
「ふむ、こやつは馬鹿じゃの。
そんなことを想定していないわけがないの~う。
というか、物を意図的にくっ付けたり、離したりする技術をいくら盗んだとしても解読することは他の神でもできない。
そのように何重にも罠を仕組んでおるからの~う。
もしも解除しようもなら―…。
グフフフフフフフフフフフフフフフフフフ。
まあ、工場や会社の守りはすでに、しっかりとさせておるからの~う。
工場や会社に侵入した時点で―…。」
あ~、印堂宝生の煽動が失敗に終わる未来しか見えない。
どうして、こういうのを相手に自分が優位に立てているのだと思えるのだろうか。
不思議でしかない。
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