第2章 上位主導者と最初の邂逅

第246回 長真家の人間と会う

 日曜日。


 明日から新学期開始であった。


 すでに、夏休みの宿題は、学校に提出し終えており、何かをすることはなかった。


 と、言いたいところだけど、今日はなぜか会わないといけないことになっていた。


 それも長真家の人間で、生徒会長の両親に―…。


 そのため、俺、美愛、夏鈴、羽奈、那留は学生服を着せられていた。


 正式な面会のため、相手に失礼がないようにするためだそうだ、アルケーによると―…。


 本当、夏休みの最後くらい自由にさせて欲しかった。


 もう、今年は叶わない夢となってしまったが―…。


 「十言、美愛、夏鈴、羽奈、那留、準備できたかの~う。」


 と、アルケーが俺たちに準備ができた聞いてくる。


 「準備の方はすでに完了している。」


 「後は、那留さんだけです。」


 「準備完了しました、十言先輩のお母さん。」


 と、那留の準備が終えたので、アルケーとともに家を出て、学園の中に向かうのであった。


 場所はもちろん理事長室である。



 ◆◆◆



 理事長室。


 そこには、雨音さんや珊瑚さんが俺らが着いた時からいた。


 「さて、そろそろ長真家の面々が来る頃じゃろ。」


 「で、俺たちと長真家に会わせるのは、神を滅ぼすための戦いに協力してもらうようにするためだろ。

 しかし、生徒会長とは、一切仲良くできないどころか、むしろ嫌われていると感じるんだが―…。」


 そうなのだ。


 生徒会長とは、いっさい上手く良好な関係を築くことができていないのだ。


 無理と言った方が納得がいくぐらいだ。


 そうこうしているうちに、案内もなしに、長真家の人々が葉積城台の理事長室の中にやってくるのであった。


 トントントン。


 「うむ、入って構わないぞ。」


 「わかりました、理事長。」


 この声、聞いたことがあるんだけど―…。そう、最近なぜか、とある部屋で確実に会っているのだ。


 そして、理事長室に入るためのドアが開かれ、中に生徒会長とその両親と思われる人物が入ってくる。


 すぐに雨音さんが対応し、生徒会長とその両親が理事長室に入ると、すぐに鍵をかけるのであった。


 ここから話される内容は、外に漏れることを良しとしないものであるからだ。


 「まずは、こちらから―…。彩華とアルケー様以外の方は初めてでしょう。

 なので、名乗らせていただきます。

 私が現在の長真家の当主長真東英と申します。こちらが妻の喜代きよです。」


 「はい、夫から紹介にあずかりました長真喜代です。」


 そう言うと、長真夫婦は頭を下げて礼をする。


 それを見た俺らもアルケー以外は礼をするのであった。


 「こちらの方に、お座りください。」


 そう言うと、片方のソファーに長真夫婦の二人が座り、生徒会長は一緒に座ることを断って、後ろに立つのであった。雨音さんは、すでに椅子を何脚か持ち込んでいたので、長真夫婦の横に置き、「どうぞ」と言う。


 これを断るのは申し訳ないと思い、生徒会長はその椅子に座るのだった。


 そのソファーの反対側のソファーでは、アルケーが真ん中に座り、理事長の執務おこなう机の側に珊瑚さんが座り、その反対側に雨音さんが座るのだった。


 その間、俺らも理事長室の中に置かれてあった五脚ほどの椅子をアルケーが運んで座るように言うので、運んで座るのであった。


 なぜか、人数が多かったので、運んでもらえなかったのはしょうがないとして―…。


 そんなことをさせるのは気が引けるが―…。


 「今日は来ていただき感謝する。儂はアルケー。それで、後ろにいるのが、左から神を滅ぼす能力を開花させた各田十言、そして、十言と協力し、魔力因子を開花させた阿久利美愛、風凪夏鈴、渚山那留、夜見羽奈です。」


 「紹介にあずかりました各田十言です。」


 「阿久利美愛です。」


 「風凪夏鈴です。」


 「渚山那留です。」


 「夜見羽奈です。」


 「そして、儂の両隣にいる二人の女性は、時任雨音と山雪珊瑚です。儂の秘書です。」


 と、俺たちの紹介に続いて、二人を紹介するのだった。


 雨音さんと珊瑚さんが挨拶をすると、いよいよ話し合いが始まるのであった。

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