第14回 猫が理事長室にいる、そして、理事長の椅子に座っている。えっ!!
「すみません。話を守衛に通していれば、よかったです。」
雨音さんは申し訳なさそうに言う。
「雨音さんは悪くないです。悪いのは母さんです。ちゃんと、守衛さんにも話を通しておくのが筋というものでしょうし、いきなり、なぜ女子校へと来いと言ってきたのかわからない。」
素直に俺の気持ちを言う。
雨音さんは悪くない。悪いのは、自分の母親でアルケーだ。
アルケーがちゃんと学園側に伝えていれば、俺が守衛さんに睨まれることもなかったのだ。
雨音さんという人も忙しいことであろう。
その忙しそうな人の手を煩わせるアルケーには、きっちりと俺から言っておかないとな。
「いえいえ、アルケー様は、本当にこの葉積城台学園のため、私たちの会社のために尽力していただいています。あの方なしに、この葉積城台学園など、成り立ちません。十言様も、あの方の素晴らしさをもっと見てやってください。」
「はあ。」
えっ、あの猫、本当にすごいか。
雨音さんに申し訳ないと思う。
大抵、女の子の画像、動画ばかりをスマホで探して、視聴しながら、興奮している変態だぞ。さらに、猥褻な言葉も平気で言う、なぜおまわりさんに捕まらないのか不思議なくらいだ。
どうして、雨音さんは、アルケーのことをこんなに良く言うのか?
もしかして、弱みを握られている…とか?
まあ、そのことに関しては、後でアルケーを問い詰めることにしよう。
そんなことを考えている間に、雨音さんは俺を理事長室の前まで案内してくれた。
「十言様。この中へお入りください。アルケー様がお待ちしています。」
「はい。」
俺は、トン、トン、トンとノックして、アルケーの返事があった。
「母さん。入るよ。」
「あ~い。」
返事があったので、理事長室に入った。
その時、雨音さんも理事長室に入る。
たぶん、雨音さんは、この葉積城台学園の理事長さんなのだろう。
いや、理事長の秘書かもしれない。
うん、そんなところだろう。
理事長室に入ると、一匹の猫が理事長が座るであろう椅子に座っていたのだ。
俺は、この光景を見て、名誉駅長ならぬ、名誉理事長なるものを思い浮かべてしまった。
猫駅長を学校理事長でもじってるのかよ、葉積城台!!
でも、その理事長の椅子に座っている猫は、俺のよく知っている猫であった。
そう、アルケーだ。
アルケーは、俺に向かって言う。
「おう、遅いぞ十言。儂は、早く来いと言ったのにの~う。」
「母さんが守衛の人に言わないから、中に入ることができなかったんだよ。それに―…、どうして、
本当に疑問だ。
俺が神信学園に進学しようとしたとき、真っ先に反対し、この葉積城台学園に入るようにしつこく迫ってきた。
女子校なので、俺が入れるわけがない。
なのに、それでも、俺なら入ることができるとしつこかった。
何かそんな謎が解けたような、解けないような―…。
「それは、ここでないと話せない内容だからじゃ。十言、驚いたか。儂は、この葉積城台学園で理事長をしている。本物のな。十言の世話でここの理事長としての仕事を雨音に任せっきりにしてしまった。もし、十言が、儂の言うことを聞いて葉積城台学園に進学してくれたら、儂は仕事をすることができたのにの~う。」
へえ、アルケーって、葉積城台学園の理事長をやっているのか。
えっ…。マジ…。
猫が女子校の理事長…? どこのファンタジー?
うん、冗談に決まっている。
「何を言っているのですか、母さん。あなたは普段、ずっと家にいるじゃありませんか。なぜ、この女子校の理事長なのですか。生徒に対するセクハラが目的ですか。
ならば、息子として警察に通報しないといけません。」
「ちゃんとした理事長じゃ。アルケーという名前で名簿に記載していないだけだ。それに、十言―…。儂は生徒へのセクハラを目的としてこの職に就いているわけではない。それより、緊急事態じゃ。お前の力を借りたいのじゃ。」
アルケーは、真剣に言ってくる。
俺もこれ以上、今のところ変なことを言うと、ガチで猫パンチを喰らいそうなので、大人しくする。
猫パンチは、人を一人殺せるほどの技だ。
だから、迂闊に猫にパンチさせるべきではない。
俺は、過去に軽いがその一撃を喰らっている。
あの時、軽く景色が白くなったものだ。まるで、コールドスリープをしたかのように時間が経過したと感じたものだ。
まあ、そんなことを思い出しても、緊急事態なのだよな。
なら、真面目にアルケーの話を聞くとするか。
「内容に関しては、私の方から説明させていただきます。」
説明を雨音さんが始める。
「まず、私は、葉積城台学園の理事長代理であり、専任秘書の時任雨音です。各田十言様、以後、よろしくお願いいたします。さっそく、十言様を呼ばせてもらった理由は、私たち葉積城台学園の生徒阿久利
?
どういうこと?
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