第2話戻る路は失くただ逝く径だけ・・・

誰かの独白。

昔サイトで書いたものを修正したものです。

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世界は優しく・・・






巡り・・・廻り・・・





そっと優しく包み込む・・・





光と闇を内包して・・・





ゆっくりと優しく・・・





残酷に廻る・・・


水の中から世界を覗く。




遠いはずの月は、とても近く大きく湖面揺れている。




涼やかに命の謳を奏でるのは、虫達と優しく吹く風にその身を任せ揺らす草木達。




そんな優しい謳を聞きながら宇宙そらを見上げる。


小さな命の輝きが、悠く輝き、その命を燃やして魅せる。




幾つもの優しく儚い星の瞬きを何の気なしに見つめる。




その瞬きの中に幾つの命が散って生まれるのか・・・





考えても仕方の無い事をらしくなく憶う。




そんな優しいゆっくりとした時間を楽しむ様に、愛しむ様に、惜しむ様に、ゆっくりと身を起こす。








湖面から出て、濡れた髪を掻揚げ、陸に上がり苦笑を漏らす。








「らしく・・・無いな・・・」










溜息と共に吐き出す言葉。


それは、本音であり、己のあり方の懺悔にも似た呟き。




身支度を整え、足元にある己の大切な物を手に取る。






相棒だ。






自身の仕事道具であり、相棒でもあるソレを手に自嘲の笑みが浮かぶ。






「・・・もう、引き返す事も無く、戻れる道など・・・どこにも、無いのに・・・な」










弱い、弱すぎる自分を振払う様に頭を振る。


道というには細く険しい場所を歩く。


暖かな帰る場所も帰り道などは遥か昔の記憶で既に忘却の彼方だ。






何処から来て何処へ還るのか、それはまだ解らない。


解っているのは、振り返るのは・・・後で、という事だけ。








「オレの時が終わる瞬間は分かっているオレの命が終わる消える時だ・・・」






そう自分に言い聞かせる様に細く呟いた声は、誰にも聞かれる事はなく儚く消える。


その問には誰にも答えられない、答えを持つ者も居ない、自身も答えを持っていないけれど。






その姿と声を薄く光る月と星々が変わらず淡く照らし見守ていた。






fin?


書き直しSS


昔サイトに書いたものを修正したが、何を考えて書いたのかは不明です。

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短編・思い付きネタ 冥狼 @ghostheaven

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