第5話 幼馴染の特権

「私は、鍵を返してくるから、皆先に帰宅するといい」


 部長の一言に、皆お礼を言った。


「ありがとうございます。お疲れさまでした」


 校舎を出ると、野球部の、大きな声が響いた。グラウンドは、夕日で茜色に染まっている。


「それじゃあ、また明日ねー!」

「お疲れ様でした」

「お疲れ様」


 帰り道は、恵海、春香、奏の3人組、俺と椿の幼馴染組に分かれている。ちなみに、俺と椿の家は隣だ。


「お疲れー」

「うん、また明日ねー」


 3人と別れた後、いつものように、2人で帰り道を歩いていた。すると、母親からメールが来た。


『柚ちゃん、今日はパパと夜デートするの♡ご飯は何か適当に食べてね~』


「まじか、夜ごはん自炊になったわ。めんどくさいし、カップ麺でいいや」


「だめだよ、健康に悪いよ。もしかして、おばさんがいない時、いっつもカップ麺なの?」


「All Light」


「『All Light』、、、じゃないわよ!」


「自炊あんま得意じゃないんだよ」


「、、、それなら、今日うちで夜ご飯食べてく?お母さんも、お父さんも、今日仕事で遅くなるから、夜ご飯自分で作らなきゃいけないし、1人で食べるのもあれだし、、、」


「行く行く!椿の作る料理はうまいからな!」


「ほ、ほんと?えへへ」


 椿は照れ笑いした。


「ほんとだよ。料理できない感が出てるキャラなのに」


「余計なこと言うな!」


 また怒られた。これ以上怒らすと、俺の嫌いなピーマン料理を作りそうだから、そっとしておこう。


 二人は家の近くのスーパーに向かった。


 SEIYOU。ここは野菜、果物、生鮮食品、なんでも格安で売っているスーパーだ。近所の人お墨付きのスーパーである。俺は買い物かごを持ち、椿に続いて店内に入った。店内には、夕飯のおかずを買いに来た客で混雑していた。


「今日はカレーにしよっかな。簡単だし、作り置きできるし。それに、、柚はカレー好きでしょ?」


「もちろん、カレーは俺の正義だ」


「ちょっと何言ってるわかんないけど、じゃあカレーにしよっか!」


 野菜売り場に向かった二人は、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを、買い物かごの中に入れていく。普段からよく買い出しに行っているのか、椿の手つきはすごく慣れている。野菜をかごに入れ終えた後、2人で肉売り場に向かった。


「あれ、椿の家のカレーって、鶏肉じゃなくて豚肉なんだ」


 椿は、298円の、豚肉のこま切れを手にしていた。


「そうよ、うちはいつもポークカレーなの。ポークカレーもおいしいよ!柚も気にいるって」


「それは楽しみだなあ」


 俺の腹が限界に近くなった。くうくうおなかがなりました。頭の中はカレーのことでいっぱいである。


「ママ―!カップルが買い物してるー!」

「こら!人を指でささないの!ごめんなさい!」


「い、いえ!大丈夫です!えへへ、カップルか、、、、、柚はどう思う?」


「俺は、」


「え、何その真剣な顔、まさか、こんなとこで!?待って!私、まだ心の準備が!」


「俺は、鶏肉も豚肉も入れた、ポークチキンカレーが一番うまいと思う」


「そんなこと聞いてないわよ!柚のバカ!!」


「え、なんでそんな怒ってるの?」


「知らないわよ!ばか!」


 椿はそう言うと、足早に、カレールー売り場に向かった。やばい、また、怒らせてしまった。ピーマンをカレーに入れたりしないよな?心配だ、、、。


 俺はそんな不安を抱えながら、買い物かごを持ち、レジに向かった。


 会計を終えた二人は、椿の家に向かった。


 続く






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恋愛これくしょん akamomiji @akamomiji

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