第4話 浮気ラインってどこ!!

 相談しに来たのは、かわいらしい女の子だった。上履きの線が緑色ということは、俺と同じ1年生だ。


「こんにちは。どうぞ座ってください。」


 椿が椅子を準備すると同時に、春香がお茶を汲みに行った。


「こんにちは。部長の内田楓です。今日はどんな相談をしに来たんだい?」


「こんにちは。1年の高木望たかぎのぞみです。実は、、彼氏が浮気をしているかもしれなくて、不安になって相談しに来ました。」


「浮気!?ひっどい男ね!」

「そうそう、浮気なんて最低な人がすることだよ!」


 椿と恵海は、浮気という言葉に即座に反応し、文句を言った。


「それで、なんで浮気をしていると思ったんですか?」


 俺は気になったことを質問した。もしかして、浮気現場でも見たのだろうか。それともうわさで聞いたのか。俺だったら悲しくて泣く。


「実は、、彼氏が私以外の女の子とすっごく楽しそうに話していたんです!!」


「・・・それだけ?」


 俺はこの女の子が何を言っているのかさっぱりわからなかった。


「それだけって何ですか!こんなの、浮気してるか、浮気の前兆に決まってるじゃないですか!」


「そうですよ。仮にも彼氏が他の女の子と楽しそうに話してるところ見たら、絶対に刺しますよ~。ちゃんと尋問もしますよ~」


 優しい目つきで春香がドス黒いことを言ってきた。


「待て待て、春香、優しい声でそんな怖いこと言うな。」


「え~女の子だったら誰でもそうですよ~。そうですよね、皆さん」


「いや、さすがに刺しはしないけど、、嫉妬はしちゃうかな」


「私は全然オッケーだよ!むしろみんなと仲良くしてほしいくらい!」


 椿と恵海がそう言ってくれて安心した。これが一般的な回答だと思う。


「彼氏君に、変な下心が無ければ、浮気じゃないと思うよ。もし心配なら、少し話して確かめてみても大丈夫だと思うよ。」


 さすが奏。アドバイスもイケメンだ。俺が女だったら確実に奏に告白してる。そしてふられて号泣してるだろうな。5回くらい。


「今の話を聞いただけだと、浮気とは判定しがたいな。奏が言ったように、一度それっぽい話を彼氏にしてみて、何となく確認してみるといい。もし実質調査が必要だったら、また相談しに来てくれ。」


 会長の結論を出した。


「わかりました。一度聞いてみます!また何かあったら相談しに来ますね!ありがとうございました!」


 そう言って、高木さんは部室を後にした。


「他の女の子と話しただけで浮気になるのかなあ」


「当たり前ですよ。私は恋人が他の女の子と話していたら尋問しますから、気を付けてくださいね、柚君」


 俺の一言に、春香が反応した。やはり声は優しい。言ってることが物騒なだけで。


「なんでだよ!」


「私だって、刺さないけどすっごい嫉妬するから!! もしかしたらめった刺しにするかもしれないし!!」


「なんでそこで椿まで張り合うんだよ!」


「さすが柚だね」


 いつものように奏が微笑んでいる。


「奏は何を言っているんだ」


「柚のバカ、、、」


「柚君のおばかさん。」


「ああ、柚はバカだな」


 椿は頬を膨らませながら、春香は微笑みながら、会長は少しあきれながら、俺を罵倒してきた。俺、悲しい。


「勘弁してくれ、、、」


 そんな話をしながら、騒がしくも楽しい、今日の部活動が終わった。


 つづく



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