第3話 選ばれしもの達
「そんなことがあったんですか、知りませんでしたよ」
俺は部長に同情した。
「でも、なんで俺たちがこの部に勧誘されたんですか?特に俺なんか、あまり部長と関わりなかったでしょう?学年も違うし」
「やはり、覚えていないか。。」
「へ?」
「いや、内緒だ、今はまだな」
部長は微笑んで俺に語り掛けた。
「でも、俺が誘ったのは、奏と椿と春香なんだよな。恵海は、誘ってないんだけど、どうしてこの部活に?どの運動部に入っても、恵なら即レギュラー取れただろ」
俺は素朴な疑問を恵海に問いかけた。
「それは俺も気になった。どうして、河野さんがこの部活に?」
奏も気になっていたようだ。
「そ、それは、、奏君がいるから、、 何でもない!恋バナ相談部ってすごくおもしろそうだなって思って!」
何かすごく焦っているようだが、前半は声が小さくてあまり聞こえなかった。あと、なんで顔真っ赤なんだろう?
「そうだったんだ。あれ、河野さん、顔が少し赤いけど、大丈夫?もしかして体調悪い?」
「ううん!全然平気!なんかすっごい暑いから赤くなってるだけ!!」
そんなに暑いかな。まあ本人は暑いんだろうきっと。
「でも、春香と椿も無理してこの部活に入らなくてもよかったんだよ?」
「べ、別に柚のために入ったんじゃないわよ!」
椿が大きい声を出した。
「椿さんはほんとにわかりやすいね」
奏は俺と椿のやり取りを見ながらやさしく笑った。
「奏君!?」
「何の話だ?」
俺は2人に聞いた。
「何でもないわよ!!」
「なんでもないよ」
大きい声と、優しい声が同時に飛んできた。俺びっくりしちゃう。やめて。
「私は、柚君と椿ちゃんと奏君がいる部活なら楽しそうって思って。それに、私はあんまり運動が得意じゃないから、文化部の方が良いなって思ったんです。」
「春香は嬉しいことを言ってくれるな、俺感動しちゃう」
「ほんとですかー?私もうれしいです。」
春香がそう言うと、椿が俺をにらみつけてきた。かまってほしくない時の猫の目つきみたいな感じだ。引っかかれそうで怖い。普通にしてたらかわいい目なのに、、
「なに、私は嬉しくないってこと?」
椿は不機嫌そうに俺に言ってきた。
「そんなこと言ってないだろ。椿が俺と一緒に入部してくれて、嬉しいよ。ありがとう。」
「っ!! ふ、ふーん、そうなんだ、、 えへへ。」
椿は頬を赤くしてにやにやしている。急に怒ったり、急に笑ったり、忙しい女の子だ。どれくらい忙しいかというと、く〇寿司で注文しすぎて、皿が全部流れて行ってしまう前に全部とりきろうとするくらい忙しい。
「椿は相変わらずだな」
部長が話したと同時に、ノックの音が聞こえた。
「すみません、相談をしにやってきたのですが、、」
続く
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