第2話 恋バナ相談部って?

「そもそも、恋バナ相談部って何なんですか?」


 俺は部長に質問を投げかけた。


「恋バナ相談部っていうのは、この桜田高校にいる人たちの恋の悩みや、不安を聞いて、アドバイスをしたり、恋の調査依頼をする部活のことだよ。まあ、最近は人があまりこないけどね」


「でも、運動神経抜群な部長が運動部じゃなくて、この部活に入っていることが不思議ですよ。引く手あまただったんじゃないですか?」


 僕の隣に座り、質問を聞いていた椿が立て続けに部長に聞いた。俺もそこが不思議でならない。


「あれは高校1年の頃だった。。。」


 部長がなんか語り始めた。黙って聞いておこう。


「入学したての当時、私は数多くの運動部や、運動部のマネージャーの勧誘が来たよ。私は運動神経は良いが、運動自体はあまり好きではなくてね、基本的に勧誘は断っていたんだよ。」


「部長は運動神経いいから、スポーツ好きだと思ってたよー」


 恵海が合いの手を入れると同時に、部長は話し出した。


「そんな時に、一人の女子生徒から、声をかけられたんだ。また勧誘かと思って断ろうとしたら、その子は部活の話ではなく、恋の相談の話をしてきたんだ。しかも、初対面の私に」


「初対面の人に恋バナを相談する勇気がすごいですね」


 奏は苦笑しながら、部長の話を聞いていた。


「私も驚いた。部活に勧誘される私を見て、私がモテていると勘違いしたらしい。そして事件は起こったんだ。。。」


「事件って。。。」


 春香はごくりと喉を鳴らした。部室に緊張が走る。


「私のアドバイスによって、その女子生徒は、意中の男子生徒と付き合うことができたんだ。そして、私のアドバイスのうわさが広まり、その話に尾ひれがつき、私のアドバイスをもらうと恋が成就するという謎のジンクスまで広まった。そこで当時のアホみたいな担任が、勝手にこの部を創設したんだ。」


「アホみたいな担任とは何だ!先生は悲しい!」


 視聴覚室の扉があくと同時に、若い男の声が聞こえた。恋バナ相談部の顧問、安田剛やすだつよし先生だ。


「ヤッホーゴリー!」

「ゴリっていうな!」


 恵海と先生のいつものやり取りだ。なんでも、剛という名前がゴリっぽいという悲しい理由でそう呼ばれている。


「俺は職員室で仕事してるから、部活終わったら鍵だけ返しに来いよー」


 そう言って、ゴ。。おっと先生は視聴覚室を出ていった。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る