『21』という数字

あいのうえ

第1話


『21』という数字に、価値を見出せる人間は、この世界にどれだけ存在するだろうか。

エースの数字、という人もいるかもしれない。

アイシールドの戦士の数字、という人もいるかもしれない。

『21』を名乗るものの中には、センチュリーな不動産屋が存在し、悩み無用なクリニックもある。

とあるアイスクリームの名前は…少し数字が足りないみたいだが。


失礼、長々と無駄な話を語ってしまって。

確かなことを一つ言うならば、2021年である今年は、

『21世紀』という時代において、『21回目』の年越しを無事迎えられたということである。


ここまでで私は『21』という数字に特別な価値を見出せていない、

ごく普通の一般人であることが判明した。

好きな数字を一つ挙げるとするならば『3』である。

なぜなら私の背番号であるからだ。


ついでに『3』という数字について考える。

『三度目の正直』という言葉について。

たかが三度ごときで、というのが私の率直な感想だ。

なぜならサンプル数が圧倒的に足りないからである。

『二度あることはなんとやら』という言葉も、同じくである。

せめて、かの名曲を生み出したドリカムのように、

『10000回』だめでへとへとになるまで試してほしいものである。


『三日坊主』という言葉について。

実際は一日しか続かなくても『三日坊主』であるわけだが。

継続をすることは何よりも難しいということ。

それが人間であると言うことを教えてくれるいい言葉である。


『三日天下』という言葉について。

実際は十日ほど天下が続いていたのではないかと言う話もあるわけだが。

かといって『21』という数字を大きく超えた、ナポレオンの『百日天下』が、

長いものと言えるかどうかは、また別のお話である。

不可能という文字は我が辞書にはないという言葉が聞こえてくる。


このように私の知識の中で、『21』という数字はとてもではありませんが

登場することはないことがよく分かったと思います。


しかし、この『21』という数字は、とある世界では魔法の数字となるらしい。

映画「ペイ・フォワード」の世界でのお話である。

先生の「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」という課題に対して。主人公の提案した考えは、「ペイ・フォワード」。

自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく、別の『3人』に渡すというものだ。

そうすると、この善意や思いやりが、その『3人』から『9人』になり、その後、さらに『27人』になり、ねずみ講のように、愛の波動が広がっていくという。


現在、世界の人口は約『78億人』と言われている。

最初の『1人』が『3人』に広げる日を『1日目』とすると、

世界のすべての人々に愛の波動が広がるのは、『何日後』になるだろうか?


かの有名な学者、アインシュタインの残した名言がある。

「複利は人類による最大の発明だ」


一体全体、何が言いたいのかと言えば。

今日を『1日目』とし、以後『21回目』の日を迎えた、幸せに満ちた世界に、心からの祝福を。

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『21』という数字 あいのうえ @ino758

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