第四十五話「無双の天才・黛桐華」
悪のカリスマ、ドラギウス三世。
ベアリオン、ザゾーマ、タガラックという強大な力を持った三幹部。
そして
しかしその日、関東大制圧作戦の
直接
それはまるで“
「そんなばかな話があるか」
林太郎は
「だけどサメっちも、このやり口はビクトグリーンに似てると思うッス」
「……いいかいサメっち。ビクトグリーンが生きているなんてことは、絶対にありえないんだよ」
そう、緑の断罪人・ビクトグリーンは、すでにデスグリーンの手によってあの世に送られている。
というか極悪怪人デスグリーンこと栗山林太郎こそ、
もし件の犯人がビクトグリーンだというならば、それはドッペルゲンガーの
林太郎とサメっちは事件当時事務所にいた怪人に話を聞くため、埼玉県
怪人たちは当然のことながら、通常の
ゆえにこうして全国各地に
診療所には大宮支部から運びこまれた、
「いようデスグリーンの
こうして見ると人間と
それを考えると、アークドミニオンの事務所がこうも早く、ピンポイントで立て続けに
たしかにサメっちの牙やウサニー大佐ちゃんのウサミミのように、人間態でも怪人の
目の前にいるこのチータイガーという男は、いまはどこからどう見ても人間そのものであった。
「旦那……オレはこの目で犯人を見たんでさ……!」
「ゆっくりでいい、見たことを話すんだ」
「
チータイガーは青い顔で肩を震わせながら、襲撃者のことを語り始めた。
車で買い出しに出ていたチータイガーは、事務所に戻ったところ、
ところが事務所の中からは、たしかに人の動く
その女と目が合ったと思ったときには、すでに全身の三〇
話を聞きながら林太郎は、
それと同時に、“若い女”というところが引っかかった。
「その女について
「ええ、いままでに見たことないぐらいの美人でした……なんつーか、女神様って感じで」
「あんた個人の感想はいい、
「キレイな
「待て、それ以上言わなくていい。よくわかった」
林太郎は
その
いまだヒーロー学校の生徒であるはずの彼女がなぜ。
林太郎にとっては“あの
「アニキ
「ああ、まあ、うん、ちょっとね」
心当たりがある、などという
彼女は……黛桐華は栗山林太郎の“
………………。
…………。
……。
ことの
林太郎にとって二年目の春、その年の新入生にとんでもないヤツがいるという
その女は入学
黛桐華は一瞬にして下級生たちのみならず、ヒーロー学校東京本校の中心人物となった。
下級生たちが桐華を神のごとくまつり上げるのは、時間の問題だったのである。
「お
「今日もお
「おい上級生ども、桐華様に対して
「
そこにあって下級生の絶対的カリスマ、黛桐華という存在は完全なるバランスブレイカーとなっていったのだ。
「上級生たちにでかい顔させるもんか! 桐華様がいればあんなやつら敵じゃねえよ!」
「ねえ桐華様ぁ、
「なあみんな知ってるか、上級生を
「ああ、あの
下級生たちは黛桐華を
そしてついに
『下級生が上級生に勝ったら、なんでも言うことをきくこと』
「最近の下級生の
「そうだそうだ!」
「けど負けたらどうする? むしろ勝てる気がしないんだけど」
「やるったってあの黛桐華が相手じゃなあ……」
「だからって売られた
たしかに、ここで勝負を
だが黛桐華という圧倒的存在を前に、上級生たちの勝利は絶望的かと思われた。
「買おうか、その喧嘩」
そこで
のちに訓練生のみならず、訓練教官たちからも“
――そして
林太郎は
競技で使われる機材には
SNSの裏アカウントを特定して印刷したデータを張り出すことで下級生たちの友情を
結果として、下級生
林太郎がありとあらゆる汚い手を打てる限り打ち続けた結果、桐華はたったひとりで上級生のフルメンバーを相手にする
さすがの天才・黛桐華も
「くっそーっ! 俺たちが上級生に負けるなんて……!」
「あーっはっはっはァ! よおしザコ下級生の
「かっ、
こうして上級生たちは、あまりにも
林太郎の
ただひとり、その結果に
誰あろう、黛桐華
「待ってください栗山先輩。こんなのインチキじゃないですか」
ただひとり
「インチキ? おいおい
「だってそうじゃないですか。お
「ほほう……?」
林太郎は
「下級生どもに
「馬鹿にしないでください。これだけ
「相手を
ふっ、と。
それまでへらへらしていた林太郎の顔から笑みが消えた。
「
「だからって……」
「
眼鏡の奥の
「俺の
「う……それは……っ……」
「いい顔するじゃねえか。そっちのほうが好きだぞセンパイは」
最初から
ついには
結局その
あまりにも
だが一番
それからというもの、なにかと林太郎に対して勝負を
「センパイ、私と
「よしわかった、ならばこの
「ウグッ! センパイ、この竹刀ビリッてきたんですけど!
「いいか黛、敵から
「……はい、センパイ……!」
林太郎はそれから一年もの間、ありとあらゆる口に出すのもはばかられるような手段でもって桐華を撃退し続けたのであった。
………………。
…………。
……。
そして現在。
栗山林太郎の前に、黛桐華は
「ひぃぃぃぃぃ。えらいこっちゃぁぁぁぁぁ……」
一年ものあいだ林太郎による
「アニキ、顔が
「悪いのは具合というより、
それはまさに。
林太郎にとっては
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