第四十四話「最強の刺客あらわる」
ヒーロー学校とは、その名の通りヒーローの
正式名称は“
とくに東京
第四十九期
その中にはビクトイエローこと
だが“彼女”はそんな優秀な人材が顔を
ヒーロー関係者でその名と顔を知らぬ者はいない。
彼女よりも才能の神に愛された者はいないと、誰しもがそう
五〇年の歴史を
世界学生ヒーロー選手権で
また
ヒーロー学校に送りつけられてくる大量の
在学中にもかかわらず、すでにヒーロー学校の卒業アルバムにサウジアラビアの
それがビクトレンジャー六人目の戦士・ビクトブラックこと、
「ようこそ勝利戦隊ビクトレンジャーへ! 久しぶりだな
「……どうも」
ヒーロー本部、ビクトレンジャー秘密基地ではささやかな
といってもクリスマスの売れ残ったケーキを半額で買ってきただけ、といういたってシンプルなものだ。
メンバーもリーダーの暮内烈人以下、鮫島朝霞新司令官と黛桐華の三人だけである。
「しかし
「それについては本人の強い希望があり、十月には内定していましたので」
朝霞司令官がフォローを入れる。
事実、桐華のもとには全国で三〇〇を超えるヒーローチームからのみならず、国際的なヒーロー機関からも
桐華はそのすべてを
十月といえば、まだビクトレンジャーが五人そろって活動をしていた
「そうかそうか、やはり持つべきものは良い後輩だな! 感謝するぞ!」
「……はい」
桐華は小さく
プレートにはビクトグリーン『
桐華と林太郎は、ヒーロー学校でたった一年、一緒に過ごしただけの
しかしその一年は、桐華にとってかけがえのないものであった。
ヒーロー学校での林太郎との思い出が
『センパイ、私と
『よしわかった、フッ」
『ウッ! ……か、
『いいか
『……はい、センパイ……!』
林太郎はけして“良い
むしろ出会った
しかし他の者たちと違い、才能に恵まれない
桐華が自身の
もし桐華に
「
「……いやです」
「その
「センパイは、まだ生きてます!」
桐華は
空のように
勝利戦隊ビクトレンジャーに内定が決まったとき、桐華は心の底から
こんなにも春が待ち
ほとんど感情を表に出してこなかった自分にも、ちゃんと笑うという機能が
わずか二ヶ月後、その
それ以来、桐華はまた笑うことができなくなった。
もともと多くはなかった
桐華はまだ、栗山林太郎の死という現実を受け入れられないでいる。
「立て、
「いまこのヒーロー本部で、アークドミニオンに
桐華は涙をぬぐうと、その冷たい瞳に黒い
「極悪怪人デスグリーンは……私の手で
………………。
…………。
……。
いっぽうそのころ。
どのチャンネルもヒーロー本部の大敗北に関するニュースばかりである。
「はぁー、年末年始ぐらい休みたいなぁー」
「このところずっと働きっぱなしッスからねえ」
「三幹部の
「のんびりしたいッスけど、いまがチャンスッスよアニキ! いま頑張れば
サメっちがはやし立てる通り、現在アークドミニオンは
ベアリオン将軍の
ザゾーマ将軍の
そしてタガラック将軍の
言うなれば
頑張りどころではあるものの、いざトラブルが起こるまでは
「敵つっても、せいぜい関東の
「ヒーローだけじゃないッスよ。怪人組織も
「怪人同士でやりあうってこと?」
「そうッス。たとえば群馬あたりまで行くと北関東怪人連合っていうグループが
「ほー、そりゃ怖いねえ。怖いから俺はもうちょっと寝てようかな」
そのときテレビの画面が急に切り替わると、ニューススタジオが映し出された。
ニュースキャスターが緊張した
『番組の途中ですが、ただいま
ニュースでは
「
「あれれッス? ヒーロー本部って、今ヒーローいないはずッスよねえ?」
「おおかた、あいつらもヒーローの
「おかしいッスねえ?」
林太郎とサメっちは不思議そうに顔を
それと同時に部屋の扉がバンッと乱暴に開かれると、青い顔の
「たたた、大変だ林太郎! 関東大制圧作戦のために用意していた支部が、ヒーローの攻撃で破壊された!」
林太郎は
いくら戦力の半数以上を失ったとはいえ、東京埼玉以外のヒーローは
多少の
「それで、やられたのはどこ? ザゾーマ将軍の
よもや
そもそもあの
いつもの調子で
「
「あっはっは……
林太郎の顔から
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