第三十一話「最凶の“元”ヒーロー」
総勢三〇名ものヒーロー職員が、侵入者の林太郎を取り囲んでいた。
『はやく怪人化するんだ林太郎!!』
「やれるものなら、とっくにやってるっての」
人間である林太郎は、当然のことながら怪人態への変身能力を
怪人化は
しかしそれは全身に
一日最大で一〇分まで、それがタガラックから言い渡されたデスグリーン化の条件だ。
しかしあろうことか、林太郎は
多少のインターバルを
つまり林太郎はこの
それは
もし彼がヒーロー学校第四十九期“
東京本部所属の“エリート”である栗山林太郎でなかったならば。
林太郎は
しかしその
「それじゃあザコヒーローどもに教えてやろうか、戦うアニキの強さってやつをさ」
ギラリと輝く眼鏡の奥で、光なきどす
「
林太郎
それを横っ飛びにかわすと、
「もらったっ! “スギグリーンチェーンソー”を食らええええい!!!」
林太郎は倒れこんだ姿勢から腕をバネにして
メシャコッ!!
「はっ、はううううううううぅぅぅッ!!」
地を
林太郎はさらに腕の力で回転をかけ、全身をひねってブーツの底をねじり込む。
ズンギョメリュリュッ!!!
「ホームセンターに……帰れえっ!!」
「あっばァァァァアアアアアッッ!!!!」
スギグリーンの武器が
少なくともヒーローが
「はぐうっ……はぐうううっっ……」
「くそっ、スギグリーンがやられた! こうなったら
リーダーの言葉で
「アカマツレッド!」
「アオダモブルー!」
「イエローポプラ!」
「ホワイトパイン!」
「……あ……うぁ……おぉ……」
「「「「五人そろって、林業戦隊キコルンジャー!!!」」」」
「……ほぉぉ……あぐ……あぁぁ……」
誰よりも木を愛し、誰よりも山を知り
それが
彼らは
「
ぬちゅるっ!
先頭で
アカマツレッドに続いて、次々と足を
彼らの
「くっ、なんだ……? 水……いや、違う、これは……」
「お前らよく燃えそうだなあ。ところで話はかわるが、
キコルンジャーたちを
その手にはすでに
「ま、待ってくれ、話せばわかる……!」
「キャンプファイヤーを
そう言うと林太郎は、油まみれの廊下にためらうことなく火を放った。
すっ転んで全身に油を浴びたキコルンジャーたちは一瞬にして
「今度から頭に
「うっぎゃあああああああ!!!!」
「あちちちちぃ!! ほぎゃあああああ!!!」
ヒーロースーツをまとっていなければ間違いなく死んでいたことだろう。
地下収容施設の広い廊下はあっという間に火の海となり、スプリンクラーが作動する。
「バカなっ……キコルンジャーがこんなにもあっさりと!」
「
「「「「
クナイを手に
「もらった! 食らえい、
戦国
「忍者が正面から突っ込んでくるのはよくない」
林太郎は
「「「「「アバババババババババ!!!」」」」」
ニンジャジャンの
「うわっ、
「おちおち、落ち着け!
「粒子戦隊レーザーファイブだっけ? 君らは武器の性能に頼りすぎだ」
「そ、そこかーっ!」
レーザーレッドの放った光線が火花を散らし、
しかしそれはレーザーレッドのすぐ目の前まで
ガッシリと頭を
それが
「おぼぼぼぼぼぼぼぼっっ!!!???」
マスクの
地方局の深夜バラエティ番組でもお目にかかれないような、ドン
訓練を
「いいもん持ってるじゃないの、ちょっと
「あぶ……あぶぶ……」
レーザーファイブの仲間たちは、闇の中で崩れ落ちるリーダーのうめき
直後、闇の中から放たれた赤いレーザー光線が、次々と仲間たちの顔面を正確に撃ち抜いていく。
「レーザーレッドォ! ウギャッ!」
「バカな、ヤツには俺たちが見えているというのか……グエッ!」
「はいはい、
数の上では圧倒的に有利であったにもかかわらず、次々と壊滅させられていくヒーローたち。
それはまるでパニックホラー映画の
もはや
「
『いや、モニターでも全滅を確認した。すごいな林太郎、お前ほどの怪人が今まで
「カリブで
ヒーロー本部所属、ビクトグリーンこと栗山林太郎、二十六歳。
そして多くのヒーローが持ちえない“
全国三〇〇を超える支部、約五万人いるヒーローの
「時間を食いすぎちまったな。次はどっちに行けばいいんだ?」
『ちょっと待て林太郎、また何人かそっちに向かってる! 来るぞ、正面だ!』
林太郎が
「いやー、こりゃすごいねえ。全部
ヒョロッと高い
「運命の
「俺は会いたくなかったですよ、大貫司令官」
勝利戦隊ビクトレンジャー司令官、
「あんたが戦えるなんて
「あっはっは、僕が戦えるわけないじゃないか。でも
大貫が指を鳴らすとヒーロー職員がひとりの少女を引き
パーカーフードから
それはロープでぐるぐる巻きにされたサメっちであった。
「あ、アニキぃ、助けてッスぅ…」
「絶対に切れない特殊なロープだよ。無理に怪人化しようものなら
大貫はいやらしい笑みを浮かべると、
「それじゃ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます