満ち潮の瞳
カガ
話
本当はね、こんなの外の人には話さないんですけどね。
でももうどうしようもなくなっちゃったのでね。もうなるようにしかなりませんから。
あなたはだいぶ知ってるみたいだから、話は早いですよね。端的に言うと逃げちゃったんですよ、あれが。あの馬鹿が余計なことするから。
え? あれはあれですよ。あれとしか言いようがないんです、名前なんてないから。何というか、名前をつけたらいけないんですよ。そういう決まりだから。それにこちらとしたって名前で呼ぶなんて嫌なんですよ。そういうふうにやって来たんですから。いままで。
とにかく大変でした。皆さんには大変なお叱りを受けましたし……。
…………。
ははは。でもお叱りとか、もうそういうのもどうでもいいです。もう終わりです。あなたは大したことじゃないって思ってるかもしれませんがねえ、終わりなんですよ。何が起こるにしろおわり。我々の代でお終いです。
あれが我々の口に入らなかったんですから。こんなことはね、初めてなんですよ。
あなたやっぱり大したことないって考えてるでしょう。まあね、よそから来たらオマツリのことは異常と思うかもしれませんがね。それが分かってるから外から来た人には話さなかったんですよ。通報でも何でもしてくれたって別にいいですが、信じてはもらえないと思いますよ。あれには戸籍とかもないし、ここの人たちみんなが口をつぐんだらいなかったことになるしね。
あ、オマツリの内容が知りたいですか。
まあいいですよ、流石に全部は話せませんが。どうせあなた記事とかにするんでしょう。
それじゃあ話しますけど、オマツリっていうのは——
満ち潮の瞳 カガ @kagari7799
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。満ち潮の瞳の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます