第24話 愛の証

ある日の事だった。



「藍花さん、少しお時間大丈夫?」



優矢の母親が、私に聞いてきた。




「はい」


「実は、あなたに話をしておこうと思う事があるの」

「えっ?お話ですか?」

「そうよ。実は私も両親を亡くしているのよ」

「えっ!?」


「あなたと変わらない時、今は亡くなった夫に救われたの。だけど条件付き。学校に通わせる代わりに、ここでメイドとして住み込みで働けと」


「そうだったんですね」


「ええ。働き続けて亡くなった夫に好意を抱き始めて…私は何度も言い聞かせた。そんな彼は、一般の方との交際をしていたから。ある日、その彼女がお金目当てだと言う事が分かった。私が言える立場でもなく何度も泣いたわ。そんな彼と私の秘密の交際が始まったの」


「そうなんですね」




それから私は、お義母さんから話を聞いた。


毛嫌いしていた理由が分かった気がした。


しかも、両親が亡くなっているって?


その話も意外な内容だった。


だけど、そういう話をしてくれるという事は、私の事を尾田桐家として迎え入れてくれてると自信持って良いのだろうと思った。




そんなある日の夜。



スッと背後から抱きしめられる。



「優矢?どうかした?」

「藍花…」



ドキン



いつもと違う優矢の声のトーンに大きく胸が跳ねる。



《えっ!?な、何!?》



私の胸はドキドキといつも以上に騒がしく加速する。




「優…」



キスをされ、優しい深いキスをされる。




「子供つくろう」




至近距離で言う優矢。



「こ、子供っ!?」

「母親の願いもあるけど」



私達は向き合う。



「お前を抱く度に綺麗になっていくから…もっと独り占めしたい」


「ひ、独り占めって…私は優矢の奥さんだよ」


「確かに奥さんだけど…尾田桐家の家族だから…家庭つくりたいし。父親として夫としてお前ともっと人生歩みたいし。子供がいるってだけで何かこう考え方とか変わるだろうし実感したいっていうか……駄目?」



ちょっと甘えたような言い方が可愛く見える。



「それは…」



勿論、駄目じゃないし、むしろ嬉しいけど不安もある。




「…まあ…無理強いはしないけど…検討してみてくんねーかな?」


「…うん…」


「取り敢えず…今日は我慢…」




私は優矢にキスをする。



「あ、藍花っ!?お、お前…」

「何?」

「不意のキスは反則だろっ!?」



赤くなる優矢。


私はクスクス笑う。



そして優矢の首に手を回すと再びキスをすると抱きしめる。




「良いよ…つくろう…」

「…藍花…」

「不安は沢山あるけど…家族ほしいし…優矢の…ううん…私達の二人の愛の証として…」



「…………………」



「…優矢…?」


「…お前…ズル過ぎ…」


「えっ?」



スッと両頬を優しく包み込むようにしたかと思ったら、唇を押し当てるようなキスをされ、今までにない深い深いキスをされる。



ドサッ

倒れ込むと私の両手を押さえる。




「じゃあマジでいいんだな?」

「…うん…」


「…分かった…じゃあ、それに応えてやるよ」


「だって優矢が最初に言ってきたんだよ。だから私もそのまま返してあげるね。優矢に応えてあげる」


「お前なぁ〜」




私は優矢を抱き寄せる。



「…私をもっと幸せにして…優矢…」

「…藍花…」

「私の家族は尾田桐家しかないから…」



「………………」



優矢はキスをする。



「…最高の家族契約だな……藍花…世界一…いや…宇宙一、幸せな家庭つくってみんなで幸せになろう」


「…うん…優矢…私をもっと幸せにして…」


「ああ…」




私達は愛し合う。






1年後、私達の間に男の子が産まれた。



数年後、女の子が産まれる。





そんな私とお義母様は本音で言い合えるようになる。





「藍花さんっ!」

「何ですか?」

「本当あなたは変わりませんね!成長したかと思ったら、まだまだですわね?」

「あら?お母様の教え方が悪いんですよ!」

「まあっ!あなたの理解力がないんじゃくて?」



私達は、こんな感じのやり取りをする中、いつも笑っている優矢や子供達。


使用人達も私達のやり取りを優しく見守る中、笑顔が絶えない屋敷となっていき、尾田桐家は良い意味で変わったと噂をしていた。






〜 Fin 〜


































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出逢いは突然に…愛へと変わる… ハル @haru4649

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