第23話 素敵なプロポーズね
「僕はリョーマ。君に逢うためにここへ導かれたのかも知れない…… 」
「私はきっと、君が来るのを待っていたのね…… 」
「そろそろ帰ろうかとも思ったんだけど……
出逢ったばかりのはずなのに、きみと僕は、ずーと昔からひとつだったような気がしてさ……
離ればなれになるなんて、どうしても考えられないんだよね !
……リディア、僕と一緒に来ないかい ?」
リディアは返事の代わりに、キスをした ✨✨
すると、まるで二人を祝福するかのように七色の光が辺り一面にあふれだし、オーロラがこぼれ落ちるように光り輝いたのだ。
ホワイトドラゴンをテイムした。
リディアのステータスは少し上がり、僕のステータスは跳ね上がった。更に各種スキルを得た。
身体の奥から溢れ出るパワーと魔力は無限大だけど、心は驚くほどに落ち着いて清々しいのだ。
「素敵なプロポーズね ❗」
「えっ ?…………… ああ、そうかい ? 必ず君を幸せにするよ !」
実は、確かに愛を誓ったけど、結婚までは考えてなかったんだ。だけどそう伝わったのなら全然それでも良いと思った。確かに運命を感じたのだから……
僕たちはテイムと共に、出逢って10分で結婚を誓ったのであった。
「私は君といるだけで幸せなのよ❤
あっ、そうそう。儀式をひとつだけ一緒にしてくれないかな ?」
「もちろん、良いとも !」
リディアは何もない空間から酒と盃を取り出して、そこに酒を注ぐと、指先を切り血を一滴垂らした。そして、僕の指を切り血を一滴垂らした。
「半分お飲みください」
誓いの酒を飲むと、心臓の音が跳ね上がった。
ほんの一瞬、猛毒かと… 疑ってしまいそうなほどの頭痛と目まい。
そして、全身の痛み。やがて、体の全てが作り変えられているような感じがしたんだ。寿命も大きく縮んだか、反対に伸びたのではないかと思えたほどだ。
「リョーマ、大丈夫 ?」
スラクはリョーマに触れているので変化を敏感に感じ取ったようだ。
「大丈夫そうかな ?」
しばらくして、痛みもおさまり、普通の状態に戻った。
白竜の生き血だ、更に人を超越したのは間違いない。
残りをリディアが飲み干した。こうして夫婦の契りを交わしたのであった。
「リョーマおめでとう !」
「「「おめでとう !!」」」
「「ありがとう !」」
コタローをはじめ、仲間達が祝福してくれた。
結局ワイバーン達は無事この地に戻ることができたんだけど、彼女達は無駄な戦いをしていたんだね。
ドラゴンが怖かったのは分かるけど、最初から話し合っていれば何の問題もなく同居できたのに。
問題は無事解決したので、僕達はリディアに乗せてもらって、里へ帰ることにしたんだ。
ワイラ達も皆に紹介したいから、一緒に来てもらったよ。
里に帰ると、最初にケータとトビさんを見つけた。
「おいおいおいおい !! 魔王がドラゴンに乗って攻めてきたぞー !」
「攻めてきては無いよね。全くトビは大袈裟だなぁ」
ケータが諭す。
なんと、ワイバーン4体をお供に引き連れたホワイトドラゴンがエスポワールドの里に舞い降りた。
ホワイトドラゴンは着陸してリョーマ達を優しく降ろすと、白銀の髪の可愛い人間の女の子へと姿を変えたのだ。
リョーマは彼女を自分の方へと優しく抱き寄せて話した。
「只今ケータ、トビさん。彼女はリディア ! 僕達、結婚したんだ !」
「ええええー、結婚 ? した ? したの ?」
「俺はもう驚かないぜ。こいつはもう、魔王に認定したからな」
「リディアです。ケータさん、トビさん。宜しくお願い致します」
「「おめでとう ! よろしくね !」」
「リョーマ様。こんなにお慕いしている私というものがありながら、どうして……」
突然リリホが飛び出して来て、嘆きながら腕にしがみついて来たのだ。
まずい、まずいぞ、こんな新婚初日で修羅場を迎えるとは思わなかったよ。
リリホー ! 勘弁してくれ。
リリホとはまだ、胸をチラ見したくらいの仲のはずなのに。そんな事を言われては
ドラゴンの怒りが、いかほどの物かと想像すると恐ろしいぞ ! 耐えられるかなぁ ?
「可愛らしい女の子ね。リョーマほどの甲斐性なら、奥さんが10人いても20人いてもしょうがないものね。お嬢さん ! あなたとリョーマの縁は分からないけど、諦めることは無いのよ !」
「私はリリホです。奥さま、リョーマ様の側女を目指して頑張りますので、どうか宜しくお願い致します !」
「こちらこそ、よろしくね」
おお、素晴らしい ! 我が妻ながらなんという広い心なのだ。
それからはどんどん仲間が集まり出して、結局全員に彼女を紹介したんだ。
僕の仲間のたくさんのゴブ人と獣人とダークウルフに会って、リディアは驚いていたけどそれ以上に彼らの歓迎を喜んでくれた。
その中でも金さんとゴブミ達は大泣きで喜び、歓迎してくれた。
ウルボス達もすごく喜んでワフワフ言っていたよ。えっ ? コイツらはいつも通りだって ? 今日はお祝いだから良いよね ?
それからワイバーンのワイラ達を里の皆に紹介したんだ。
それからはもう大騒ぎだった。工場も操業を止めて、大宴会が始まったんだ。
一方その頃コンビニでリョーマの帰りを待っていたルイは、ずっと里の様子を眺めていた。
さすがにドラゴンが飛来したのには驚いたけれど、リョーマの結婚の報告を聞いてもっと驚かされたのだった。
そして、驚くほど悲しい気持ちになったのだ。
それはどちらかと言えば、兄がいなくなるような寂しい気持ちだったのかも知れないけれど、まさか自分の中にこんな複雑な気持ちが隠れているとは信じられなかったんだ。
しかし、彼女は完全に出そびれた。タイミングを失うと出るに出れなくなだてしまったのだ。
(私なんかが出て行ってお祝いムードに水を差してはいけないわ)とも考えていたのだ。
コンビニの影で隠れるようにしていたルイを見付けたのはトビだった。
「おいルイ、ちょっと来い !」
「そんな、困ります~」
「そんなどこかの若奥様みたいなこと言わずに、良いから来い ! 師匠なんだろ ?」
「若奥様は私じゃ無いです」
って ! トビが言っていたのはそういう意味では無いのだろうが……
「ルイ ! わざわざ来てくれたのかい ? 元気そうだね」
「リョーマ……」
ルイは僕の声を久し振りに聞くと、募る想いとこれまでの僕がいない苦労が思い出されて何も言えず涙をボロボロとこぼしてしまった。
「リョーマ ! なんにも言わないで……
頑張って探したけど、どこにもいないし……
ボルトはバカで…… 」
ルイはこれまで我慢していた思いや、突然消えたリョーマのことを心配する気持ちと、突然喪失した想いが重なって、感情があふれ出してしまった。
僕の両の肩をつかんで言葉を吐き出した。
そして、ドンドンと胸を叩いたんだ。
ルイにとっては大好きなお兄ちゃんのような存在で、それを分かっている僕には全然おかしくない光景だ。
ところが見ようによっては、突然消えた愛する人との再開のようにも見えなくもない。
リョーマは先程のリディアの言葉が無ければ、又しても修羅場かと狼狽えてしまうところだったけど、落ち着いてルイの頭を撫でてあげたんだ。
「うんうん…… そうだね…… ごめんね、急に消えて。役立たずだって言われてボルトに追い出されちゃったんだよ」
そんな僕の話を聞くと、ルイは納得したのか落ち着いたようだ。
しばらく話し合った結果、ボルトのところに行くよりもこの里に住みたいという事になったのだ。
「側室の管理は妻の努め。リリホとルイの事は私にお任せくださいな」
えっ、リリホはまだしもルイはそんな流れだっけ ?
だからって、否定することは誰にもできない感じの雰囲気で…
理解があるのは嬉しいけど、若干、先走り気味の若奥様に少し不安になってきたリョーマだった。
最強の白龍使いはお金がない!だって魔物倒せないから。~龍もゴブ達も使い魔にしてやたら仲間が増えるんだけど…やっぱお金より愛と友情でしょ ! ギフト @gifuto
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