Web小説始めました!!

GK506

Web小説始めました!!

 僕は物語の世界で生きて来た。


 物語の世界は、臭くて汚いリアルの世界とは違って、崇高で、とても綺麗な理想で一杯に溢れているから。


 だから、僕は、リアルの世界では当たり障りのない人間関係を惰性でこなし、過去の偉人やファンタジー小説のヒーロー達と有意義な時間を過ごす日々を送っている。


 このまま物語の世界にどっぷり浸かって、死ぬまで本物の人間関係など構築しなくていいと、心の底から思っていた。


 リアルの世界の人間達は、自分の事ばっかりだ。


 全体の幸せの事を考えている人間なんてほとんどいない。


 自分や仲間の生活でいっぱいいっぱいで、仲間や家族を守る為に、自分たちの幸せを優先して、くだらない一生を終えていくのである。


 だから、僕は、そんな汚い世界の空気を吸うのはやめにして、物語の世界で生きていくと決めたのだ。


 そんな僕の人生が変わったのは、Web小説と出会ったおかげであった。


 物心ついた時から、暇さえあったら物語の世界に没入していた僕は、必然、いつしか自分でも物語を作る様になっていった。


 誰にも公開する事のない自分だけの物語が、年月と共に、積もり積もっていく。


 ある日、僕は、その物語の一つを何とはなしにWeb小説のプラットフォームにアップロードしてみた。


 初めのうちは誰にも読まれなかったけれども、次第にちらほらと僕の小説を読んでくれる読者が出来て、コメントを書き込んでくれたりなんかして、生まれて初めて人との繋がりを感じる事が出来たのである。


 顔も名前も知らないどこかの誰かが僕の小説を読んでくれる。


 そして、僕の小説を読んだ感想をコメントしてくれる。


 こんなに素敵な場所があったなんて、僕は今まで夢にも思わなかった。


 リアルの世界での当たり障りのない無味乾燥な人間関係とは全く違う。


 顔も名前も知らないけれど、僕と読者の繋がりからは、確かな温度を感じる事が出来るのだ。


 それは、僕の一方的な思い込みなのかもしれないけれど、それでも僕は、読者の事を共に物語を作っていく仲間だと思っている。


 Web小説を書く事が日課になって、色彩を失って久しい僕の世界が、七色の光を放ち始めた。


 書くのが楽しくて楽しくて堪らない。


 人生に全く興味を持つことが出来なかった少し前までの僕がまるで嘘の様に、生きるのが楽しくて、小説を書ける事が嬉しくて、今僕は、たまらなく青春している。


 この想いを伝えたいと小説にして読者に届ける。


 物語が物語を繋いで、新たな物語が生まれる。


 今までずっと独りで生きて来たのだと思っていた。


 これからもずっと独りで生きていくものだとばかり思っていた。


 でも、本当は違ったのだ。


 今まで読んできた数千の物語に導かれて、僕は僕の在るべき場所へと辿り着く事が出来た。


 僕の中の数千の物語が繋がって生み出された新たな物語のおかげで、僕は、沢山の仲間に出会う事が出来た。


 小説があったから今まで生きて来られたのだ。


 小説があるから、これからも生きていけるのだ。


 僕の物語を楽しんでくれる仲間達と共に、この道を歩み続けていけば、僕はいつかきっと、理想の世界を創造する事が出来るかもしれない。


 だから僕は、今日も小説を書いて、それをWeb小説にアップロードするのである。


 ここは、ようやく見つけた僕の居場所だから。


 僕は小説このみちで生きていくと決めたのだ。


 今日も沢山の読者なかまと共に、僕は新しい物語せかいを作っている。



        おわり


 

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