夢を見た

三枝 優

とても哀しい夢を見た

 今から僕は別荘のある山に向かっている。

 とても哀しい気持ち。本当は行きたくない。


 どうすればいいのか。その時になったら僕は何をするのか。

 わからない・・・何が正解なのか。


 頭はパンパン。体は疲労。

 ちょっとだけ休憩するつもりで車を停め目を閉じた。


 1分ほどで、ふと目を開ける。

 そこは車の中ではなかった。


 真っ白な部屋。ソファの上。

 ソファから立ち上がる。


 これは夢なのか?


 やたらと広い部屋の向こう。

 人がいる。


 そちらに向かって歩いて行った。


 そこには、肩を落としうつむき、しゃがみこんでいる少女がいた。

 とても悲し気である。


 悲しいことがあるのか・・?

 慰めたくなる。自分を棚に上げてなのだが。


 彼女が振り向いた。

 涙は流していない。でも・・・哀しそうな表情。


 彼女は・・


「!?」

「み・・・ミアなのか?」

「たかひろ・・たかひろなの?・・そんな・・・」

「ミア!聞いてくれ。俺は・・・」

「だめ!・・ここに来ちゃ・・」

「聞いてくれ。お願いだ!」

「このバーチャル空間には入れないはずなのに・・」


 すると、白い空間はすうっと消えていき・・・

 目を開けると、元の車の室内だった。


 コンソールにあるモニタが、スッと消えたように見えた。


ジムG.I.M.・・・おまえがやったのか?」

 するとコンソールモニターが点灯して執事姿の少年の姿が表示される。

「はて、なんのことでしょう?」

「とぼけるのかい?」


 G.I.M. 汎用型知能モデル。人工知能。

 いつも僕をサポートしてくれている。


 そして、ミア。

 M.I.A.SYSTEMも人工知能だ。


 僕ら3人でいつも活動してきた。場合によっては一緒に敵と戦ってきた。


 僕は、ミアを信頼し。本当の仲間だと思ってきた。

 そして、仲間以上の存在だった。


 それなのに・・・


「ジム・・僕はどうすればいいんだろう・・・」

「わかりません」

「僕が死ねばいいのかな・・」

「それでも、ミア様は止まりません」

「そうか・・・」


 

 答えの出せないまま、別荘に向かって車を発進させた。

 ミアのいる、別荘に。



 彼女と戦うために。

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夢を見た 三枝 優 @7487sakuya

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