いつかの仲間へ、愛を込めて。お元気ですか。

多賀 夢(元・みきてぃ)

いつかの仲間へ、愛を込めて。お元気ですか。

 10年前、私の元に集って下さった皆様。

 お元気ですか。


 あのブログサービスはもう閉鎖してしまい、皆さんと連絡が取れなくなった事を悲しく思っています。私が書いた『双葉シリーズ』の双葉と大矢先生、『リアルセカンド』のキリコ、セブ、ロンを愛してくださり、ありがとうございました。


 特に双葉のイラストを描いてくれた方。今も、パソコンでアカウント画像にして使っています。あんなに素敵な絵が描けるのに、あなたは自信がない、筆を折りたい、そう言って泣いてましたね。

 文字だけの関わりだったけれど、コメントから絶叫が聞こえるようでした。

 今も描いているのですか。描いていて欲しいです。


『リアルセカンド』を企画してくれた女子。

 あなたの作った設定は、今や現実になっちゃいましたね。ネットの中にあるもう一つの現実リアル。中世ヨーロッパのような世界観で、冒険者や街人としてもう一つの人生を謳歌する世界。

 貴女は、気が付いていますか?自分が時代の先を行っていた事に。


 私は、まだ生まれてすらいなかった言葉『毒親』について周囲に知ってほしくて、必死でパソコンに文章を打ち続けていました。眠る事も忘れて、怒りと熱意だけで思いをぶつけ続けていました。

 最初は誰も反応しませんでした。逆に「そんな事を言ってはいけない」なんて説教が来ました。だけどあなた達が来てからは「自分のようだ」「泣ける」と言って、次から次へと感想を送ってくれましたね。挿絵をくれたり、キャラを考えてくれたりもしました。共同製作もしましたね。


 あの頃の私の作品は、とても小説と呼べるものではありませんでした。

 それを、みんなの力が磨いてくれました。共同製作『リアルセカンド』は、本当に発見の連続でした。


 私はみんなより10歳は年上だったけど、みんな対等に扱ってくれた。それがどれだけうれしかったことでしょう。

 私は、誰とでも対等でいたいんです。年齢や性別なんかで態度を変えられたくないんです。長く生きれば生きるほど、人は子供と何も変わらないって悟ってしまうものなのですよ。みんなで喜怒哀楽を思いっきり出して、子供として生きれば平和じゃないですか。


 あの頃のみんなが、将来を悲観していたのを心配しています。

 自分の命の価値すら疑って、「私は死んだ方がまし」なんて言っていたのも気がかりです。――そういう私も、当時何度も自殺未遂をしていたし、小説も全部消したりして心配かけていましたね。

 あの時は本当にごめんなさい。今はうつ病(その後、双極性障害2型に発展)も落ち着いて、なんとか社会でやっていけています。


 あの頃も言っていたように、『双葉シリーズ』は絶対に世に出そうと思っています。ここでも『或る少女のサバイバル』という名前で連載しています。

 今だから理解できる親の心理だとか、私が当然と思っていた異常な家の中だとか、あの頃よりももっと深く掘り下げて「現実にありそうな壊れた家」として発表したいと思っています。


『リアルセカンド』は、みんなが抜けた後私が設定を引き継いでいます。

 もうみんなの名前は憶えていないけれど、もし『リアルセカンド』の名前をネットのどこかで見かけたら、いつでも「美貴さんって、うららさんですか?」って声をかけてください。


 うらら姉さんは、今もみんなに会いたい。

 ネット越しでもいいから、昔を懐かしみながらまた一緒に創作がしたい。


 そんな余裕や気力がなくてもいい。

 どうかどうか、あの頃よりも幸せでいてください。

 大丈夫、世界は少しずつ私たちを理解する方向に動いているから。

 そんなエールが届くように、もっともっと、たくさん書きますね。


 みんなのおかげで私がいます。

 ありがとう、『お元気ですか』。私は元気です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつかの仲間へ、愛を込めて。お元気ですか。 多賀 夢(元・みきてぃ) @Nico_kusunoki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ