第24話 吸血姫さんはママになる。
「事実確認が済んだところで私としては琴美ちゃんを引き取りたいのですが反対意見はありますか?」
「私は取り返しのつかないことをした自覚もあるしこんなこと言う資格はないかもしれないけど娘と離れるのは辛い。本当は信彦をなんとかしてから琴美を迎えたいと思っているけど、私たちより琴美の意思に任せることにするわ」
「そうですか、琴美ちゃんはどうしたいですか?」
「……お母さんとお父さんが虐待してたことは今となってはどうでもいい。一応ここまで育ててくれたのは感謝してる。わたしはソフィーについていく、ソフィーと一緒にいることだけが生きがい」
私と一緒にいることが生きがいだなんて思ってたの!?何も言葉にしてくれないしそっけないから本当は不安だったのに。でも少し罪悪感があるかな。最初は下心があったわけだしここまでとは言わなくても私に依存するようにしちゃったし。こうなったら責任を取って琴美ちゃんの人生分は寄り添うことにしよう。
「そうなのね……悲しいけど仕方のないことだわ。琴美のことをよろしくね」
「はい、お任せください。それでしたらこの書類にサイン等確認お願いします」
本当は自宅調査とかあるのだがそういうのは全部済ませたことにしてある。魔法で勝手に引き取ることもできたが、親に確認を取った方が双方ともに今後のことを考えると良いだろう。実際にホスト通いと偽って家計を支えていた由美さんのことが琴美ちゃんに伝わったし、ただ信彦だけは許せない。
信彦さんにはアルコールに対しての耐性を弱くして今では缶ビール一杯で、でろっでろに潰れるだろう。それとアルコールで寝落ちした際に悪夢を見るという呪いの魔法もかけておいた。もっと辛い呪いをかけたいところだがただの人間では精神が壊れてしまう恐れがあるのでやめておく。こんなでも琴美ちゃんのお父さんだからね。
「では私たちはこれで帰ります。琴美ちゃんが落ち着いたらまた挨拶に来ると思うので気長にお待ちください」
「わかったわ。琴美、許されないことだと分かっているけど改めて謝罪させてもらうわね。ごめんなさい」
由美さんはきちんと謝罪と共に頭を下げた。この謝罪には裏があるように思えないし本心のようなのでちゃんと反省したみたいだ。
「ん、もう気にしないで良い」
「そうですね、ただ次琴美ちゃんのことを傷つけた時はご両親とはいえ覚悟しておいてください」
「はい、もう二度としません」
ちなみにここには信彦さんはいない。話し合い中ずっと黙っていて――喋れないだけだが――話し合いが終わるとすぐに自分の部屋に戻っていった。
いつになるかわからないけどご両親がまともになった後に琴美ちゃんとまた話せるようになってると良いね。
そのあとは児童福祉審議会が無事に通って琴美ちゃんが正式に私の養子になった。
地球に戻ってきたTS吸血姫さんは大暴れ!! クロ @kuro08745
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