第46話 She is not honest.
ブラッドさんとの練習が終わり、片付けを終えると、俺は二階の自主練スペースに行った。
妃美さんがブラッドさんと話をしている間、そろそろジムが終了の時間が近いので練習を終了しているか様子を見てくるように頼まれたのだ。
「オーイ。麗衣。恵。練習終わった……」
「イテテててっ! ギブギブっ!」
自主練スペースに入った途端、麗衣の悲鳴が聞こえてきた。
俺は中の様子を確認すると、麗衣はホットパンツ姿の股間を開き、腋の下とスポーツブラをこんもりと盛り上げた双丘を無防備にこちらに向けた姿勢で四肢の自由を奪われながらレイチェルさんに身体を吊り上げられていた。
「ろっ……ロメロスペシャル?」
麗衣は練習を止められていて、恵が代わりに技を教わっているところを見学しているはずだが、何故かレイチェルさんにプロレスの技を掛けられていた。
俺はこの場でスマホを持っておらず、麗衣のあられもない姿が撮影出来無いのが無念だった。
「イテテっ! もうクソビッチなんか言わねーから離してくれぇええええっ!」
「ノー。ワタシニホンゴワカリマセーン」
にっこりと笑いながら、レイチェルさんはお決まりの返事で答え、技を緩めようとしなかった……。
考えてみれば、麗衣の性格だから、大人しく見学しているはずも無く、恐らくレイチェルさんを挑発して性懲りも無く再びスパーリングを挑んだらたらこんな目に遭ってしまったという事だろうが……。
(ナイス! レイチェルさん!)
俺と恵はやや息を荒くしながら麗衣の姿をじっくりと堪能し、この瞬間からレイチェルさんの熱烈なファンになった事は言うまでもあるまい。
◇
「いやぁ~凄い為になったわ」
翌日、俺は学校で恵とブラッドさん達に教わった事について話していた。
「そうよねぇ~。私もレイチェルさんに教えて貰ったから、とっても役に立ちそうだよ」
「そっちが何を教わったか分からないから、今度教わった事を俺にも教えてよ」
「良いけど、武君がブラッドさんに教わった事も教えてよね?」
「ああ。勿論さ」
「でも、武君にもビックリさせられたんだから……あんな無謀な真似今後は絶対しないでね」
まぁ第三者の目から見たら、蟻が象に挑む様なものとしか言いようがないだろうな。
俺達がそんな会話をしていると、勝子が面白くなさそうに会話に割って入って来た。
「麗衣ちゃんが恥ずかし固めされている姿を撮影出来なかった役立たず達が楽しそうね」
「恥ずかし固めじゃなくてロメロスペシャルなんだけど……」
「プロレス分かんないけど似た様なものじゃないの? アンタは私の下僕なんだから今度はキッチリ撮影しておきなさいよ」
「いや……レイチェルさん今日帰国するし、二度とやらないだろ」
「何だ、つまんないの……麗衣ちゃん学校来れないし下着が見れないから、せめてエッチな姿の写真がほしかったのに」
勝子の変態っぷりにブレは無かった。
だが、その気持ちはよく分かるぞぉ。
「ところで麗衣ちゃん、今頃何しているのかな?」
停学中に如何過ごしているのか、気になっているようだ。
「今日帰国しちゃうからレイチェルさん達を見送りに行ったら? って昨日言ったんだけど、『なんでアタシがクソビッチの見送りなんかしなきゃいけねーんだ!』とか俺が怒鳴られちまったけど」
「そうなの? さっき更新されたレイチェルさんのツイスターみたら、麗衣さんが一緒に映っていたよ?」
「「え?」」
恵に思いがけない台詞を聞かされ、昨日フォローしたばかりのレイチェルさんのツイスターというSNSをスマホで確認してみると、空港のターミナルと思しき場所でレイチェルさんに頬をキスされ、紅潮して耳朶まで赤く染め、動揺している麗衣の写真と以下のメッセージが投稿されていた。
「She is the future female kickboxing champion. She is my dear friend Reii.」
(彼女は未来の女子キックボクシングのチャンピオン。親愛なる友達の麗衣よ。)
麗衣の奴、見送りに行くほどレイチェルさんの事好きになってるじゃねーかよ!
素直じゃねー奴だな……。
◇
コラボ回は今回で終わりです。
こんな終わり方で申し訳ありませんが、キャラを貸してくださったビジョンさんに御礼を申し上げます。
レイチェルさんとブラッドさんの活躍はビジョンさん作『フェイタルコンバット ~美女肉弾』をご覧ください!
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