第2話

 仕事の関係上、よく走る。

 いま、彼女には会えない。敵に追われているから。自分が、狙われている。この状態で会って、彼女を危険に巻き込んではいけない。

 走りながら、逃げる方向と向かう場所を考える。今この瞬間。ひとつひとつ。間違えたら、命取り。そういう仕事。

 彼女。もう寝る頃だろうか。だめだ。自分は今夜、ひたすら動き続けなければならない。

 長い夜になりそうだった。

 死ぬかもしれない。

 そう考えながら、もう片方では彼女のことを考える。死んだら。彼女にもう会えない。

 だからといって、彼女のために生きるとか、好きな人に会うため闘うとか、そういう気分にはなれなかった。歳のせいかもしれない。


「だめだな」


 死に際だからか。むだなことばかり考える。彼女。もう寝てしまっただろうか。

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流れ星 春嵐 @aiot3110

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