ニホン昔話BC3000『スマホの木』
鮎河蛍石
『スマホの木』
時は西暦3000年マザーブレインが語るベッドサイドストーリーで古代人の生活を学ぶ子供が居た。
『お母さんきょうはどんなおはなしをしてくれるの?』
『今夜のお話は【スマホ】について学んで行きましょう』
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昔々、西暦2000年代初頭、スマホことスマートフォンがこの世に誕生しました。西暦2200年以降の人類は脳、脊髄、神経にくまなく注がれたマイクロマシンの機能のより、人類は国境や人種、時間といった様々な制約を超え社会に直接接続を行います。しかし、マイクロマシン完成以前の人類はスマホからインターネットを介し社会と接続をしていました。
スマホの機能は多種多様で、恋人探し、食事のケータリング、睡眠時間の管理といった三大欲求の処理装置、加えて諸々の映像・音楽を主とした娯楽の視聴装置も兼ねており、当時の人類はスマホ無しでは生きては行けない脆弱な生き物でした。
そんな2000年代の人類は14歳を迎えると村のイニシエーションとして、山に入りスマホの木から端末を収穫するのが習わしです。「お前もいよいよ自我が固まりつつある。山へ行ってスマホを採ってこい」「はい!長老」
学生書と印鑑、財布とハンカチーフを持った村の若者は山を目指して街に向かいます。
「お兄さん!××××どっすか!?××××どっすか!?」
山へ向かう道すがら、歓楽街で女体の特定部位を勧めてくる
「結構です!結構です!」
「良い××××ありますよ!どっすか?良い××××ありますよ!」
客引きは店に深い洗脳をされているので会話が通じません。ですから若者は「結構です!」を連呼し危険地帯を一気に通過します。するとどうでしょう店の
「いらっしゃいませ!」
若者が街の中心にある
「スマホを採りに参りました」
「どうぞこちらへ!」
店員に案内され山の中腹にあるPC・AV機器・スマートフォンの
「これがスマホかー」
スマホの森に繁茂する知恵の実を宿す果樹に圧倒され若者が腰を抜かしました。スマホの木は
「どれにいたしましょうかお客様?」
店員が蛇めいた笑みを浮かべながら若者を抱き起します。
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『お母さん!なんでいっつもデタラメ言うの!スマホっていうのは__』
子供は千年前の文化を伝えるポピュラーな古文書『
種保存用太陽圏脱出艇【Noah】ニホン国所属航行統制サーバー【コウノトリ】。
子供とは情報統制サーバーの主幹電脳コウノトリをサポートする端末を指す。主幹電脳は不測の事態に対応するべく人間に限りなく近い思考回路を再現された人口知能、それ故に無の広がる宇宙で退屈し
箱舟は地球に存在する全ての有機的生体情報圧縮体を母体の如く腹に抱えていつ終わるとも知れない旅を続けていく。
ニホン昔話BC3000『スマホの木』 鮎河蛍石 @aomisora
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