スマホかと~ 思ったら~ かまぼこ板でした~ チクショ(暗転

いずも

第1話 な~にぃ~!? やっちまったな!

 ピピピッ。

 朝はスマホのアラームで目を覚ます。


「うーん……あと5分……」

 ピピピッ。

「ううぅ~……」

 ピピピッ。

「あれ、鳴り止まないぞ」

 ピピピッ。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「さて、いつもより早く起きたからちょっと早めに駅に着いたな」

 毎朝乗る電車の時間ギリギリに到着するのだが、今日は余裕をもって到着した。


「んー、次の電車が来るまでもう少し時間があるな……ニュースでも読むか」

 ニュースアプリを開こうとスマホを取り出す。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 会社まで行く途中にある自販機でコーヒーを買うのが日課となっている。

「小銭を出すのが面倒だからスマホ対応してるのは助かるよな~」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 会社に到着した。

 エレベーター前にて。


「はよーっす」

「おはようございます、先輩。いつもより早いっすね」

「一本早い電車に乗ってきた」

「万年5分前出社の先輩が、珍しいこともありますね」

「なにをー、こいつぅ」


 後輩とのやり取りもそこそこに、事務所に到着。


「タイムカードも勤怠アプリを入れてスマホでタッチするだけ。便利な世の中だねぇ」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 朝礼にて。


「えー、今日のスケジュールは何かありますか?」

 課長の言葉に予定を確認する。

「カレンダーアプリを開いてっと……」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「先輩、今日のお昼はスシ○ーにしませんか?」

「いいねぇ。じゃあアプリで席を予約しておくか」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 会議にて。


「誰か書記やってくれる?」

「俺やります。あ、スマホで録音していいですか」

「構わんぞ」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板でしたわ」



 ------



 商談中。


「――こちらが開発中の新商品になります」

「ほう、これは売れますよ!」

 主任がこういう時は押せ押せのサインだ。

「間違いないですね」

 ナイス、と目で合図してきた。


「そ、そうですか。そこまで言ってもらえるならぜひ御社にお願いします」

 先方もまんざらではなさそうだ。


「参考資料として写真を撮らせてもらっても良いですか?」

「どうぞどうぞ」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 終業時刻。


「いやー終わった。今日も一日お疲れさん」

「お疲れさまです」

「たまには早く帰れよー。俺は子供の迎えがあるから先に上がらせてもらうけど」


「じゃ、俺も今日は帰ろうかな」

「今日は先輩早く来ましたもんね」

「そうだったな。じゃあ早く帰ってもバチは当たらないよな」


 今日は勝手にノー残業デー。

 機械に向かってスマホをかざす。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「そうだ。今日はポケモンG○でレアなやつが出るイベントやってるんだった」

 会社のすぐ近くに大量発生スポットがあるため、急いで向かう。


「すでに人が集まってるな。よし、それじゃ俺も……」

 アプリを立ち上げようとスマホに手を伸ばす。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 夕食の買い物にスーパーに立ち寄る。


「いつも惣菜ばっか買ってるからな。明日は休みだし、たまには何か作るか」

 店内を物色していると特売商品を見つける。

「へえ、今日はかまぼこが安いのか。それにもやしにネギ……ラーメンにするか」

 今夜の献立が決まる。


「えーっと、具材で他に何が必要かな。クック○ッドで確認するか」


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「全部で1058円になります」

「スマホ決済で」

「ではこちらの機械にかざしてください」

「はい」


「それスマホじゃなくてかまぼこ板ですよ」



 ------



「よーし、夕食作るぞ。余ったかまぼこはわさび醤油で酒のつまみにするか」

 それから15分後。


「よし出来た。冷蔵庫に昨日の残りの日本酒が……あった」

 瓶のラベルにはキャンペーンの案内シールが貼られている。


「なになに、その場で当たりがわかる、か。QRコードを読み取るだけで良いのか」

 スマホでコードを読み取ろうとする。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「へぇ、あの歌手新曲出してたんだ。ちょっと聞いてみようかな」

 楽曲をダウンロードするため、配信サイトにアクセスしようとする。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



 ピロンッ。

 通知音が鳴る。


「そうだ、来週の飲み会の返事まだしてなかった」

 メッセージを返すため、スマホを手に取る。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「もう使いすぎてボロボロだし、そろそろ新しいスマホに変えたいな。明日は休みだし、丁度いいから機種変しようか」


 今のスマホを使い始めて2年が経つ。

 そろそろ良い頃合いだ。


「随分とお前にも世話になったな」

 使い古されてすっかり傷だらけになったスマホを愛おしむように撫でる。


「これスマホじゃなくてかまぼこ板だわ」



 ------



「新しいかまぼこ板買ったし、しばらくはあれで良いか」


 やっぱり明日は引きこもってゲームしよう。

 おやすみなさい。

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