第33話 旅の空から


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<コラム> 旅の空から


東北の空はどこまでも青く。


夏だというのに風は爽やか...陽ざしも、どことなく北の香り。



こんばんは。


今、僕は寝台列車に乗っています。


束の間の夏休み、東北地方を巡っているのです。



土道や、小川のせせらぎを聴いていると、気持ちが柔らかくなって。


旅、いいですね。



この旅の目的のひとつに「懐古」趣味を満たす、という項目がありました。


旧国鉄の車両にもう一度乗る、とか、故郷を訪ねる、とか。


往路、旧国鉄の車両(583系という寝台電車です)にしばらくぶりに乗車したのですが、

その相変わらずの重厚ぶりに、嬉しくなったり。

あの時代を思い出し、日本が活気に溢れていた頃が懐かしくなったり。


....しかし、同時にこの車両が400両余りも製造され、現在もなお通用する性能でありながら

50両程しか現存していない、という事実に触れ、なんとも複雑な感情を抱いたり。


(これも公共投資でしょうからネ。)


その点、この東北地方では古い車両が大事にされていて、嬉しかったり、有り難かったり。


古いものを大事にしてほしい、と心から思いました。


なにせ、旧タイプの車両といっても、少しも旧さを感じない乗り心地。

むしろ、今の車両より快適で静かなのは、コスト計算が先に立ち、乗客のことを二番目に、

という民営化以降の車両には有りえないものでしたから。


この、ヒトが二の次、という感覚。最近良く見かけますが、注意したいものですね。



青森駅にもやはりジベタリアンたちが存在し、しかし東京の彼等とは異なり表情は明るく、

笑顔が荒んでいない、というあたり。救いに感じたり、同時にメディアの悪影響を考えざる

を得なかったり。


また、林檎畑を潰してバイパス道路を作り、交通量も少ないのでそこがカーマニアのレース場に

なっていたり。


これもやはり、且曹vという文字が頭に浮かびました。


日本中をみんな都会にする必然が?とか思ったり。



ちょっと面白いのは、帰省客と地元人がはっきりと違う事で。


例えば、コンビニエント・ストアなどで買いものの際、帰省客は苛々と気忙しいのに、

地元の人はのんびりと待っていたり。


子供を見ると良くわかるのは、都会の子供は必ずメディアに触れている。(ニガ笑)

漫画本とか、携帯ゲーム機とかを持っていて、“ここに心がない。”

ヴァーチャル・リアリティに遊んでる。




うーん、子供はより侵されてますね、メディアに。


ああいう子供は、大人になったらやっぱりマンガチックな発想しか出来ないんでしょうね。

24時間戦ってるんだから。ヴァーチャルな世界で。(疲れるだろうな...)






僕は田舎に行くのがとても好きなので(住んでるところも田舎ですが)

何故か、都会に憧れがない、というのはひょっとしたら東京生まれだからかもシレナイナ、

とか思いつつ、寝台車のベッドでひとり、帆立釜飯を食うのでした。


.....そういや、向かい側の高校生(らしき)女の子、家出っぽいな,,,大丈夫かな..


なーんて、思いつつ。旅は終わりに近づくのでした。


EF81-136が、タイフォンを鳴らし、

なんとなく寂しげなその響きに旅愁をかきたてられながら。




-------[以下、次号へ続く]--------------------

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ヒト学のかたわら 深町珠 @shoofukamachi

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