第2話


 「先生…カイルは…息子は、大丈夫でしょうか?」


 「ええ、特になにかあるわけではないです。マリー様の治癒魔法により、体力的には問題はないですし、薬の方も効いているようなので。ただ、そろそろ目を覚ますはずなのですが。」



 このとき煉は、転生に際してある不具合がおきていた。そう、ファニアのせいである。    本来ガルドは、ファニアが煉に謝り、異世界についてしっかり説明し、そのあと転生させるように見守る役であった。

 しかし、ファニアが自分の失敗を隠蔽しようとしたため、ガルドが説明するが、ファニアが隠蔽しようとしたぶん説明する時間がなくなり、ファニアがあらかじめ転生の術式を組んでいたもので転生させた。そう、この術式が間違っていたのだ。だがこのときは、ファニアもガルドも知らない。本来は、煉の新しい身体。カイルが病気で高熱をだした1日後に、前世の記憶と前世を思い出す前のカイルの記憶が病気が治る2日間でゆっくり混ざり、転生が完了する筈だった。

 だが、病気が治る数時間前に前世の記憶と前世を思い出す前のカイルの記憶が急速に混ざり、前世を思い出す前のカイルの記憶がまるっと消えてなくなり、前世の記憶だけ持っている状態で煉は目を覚ますのだった。


 「うっ……まぶしい。ん~~、どこだここ?……あー、転生したのか。にしても赤ん坊から転生じゃないんだな。」


 煉は上半身を起こし、自分と周りを見る。

自分視点からは、3才児のような少しは動けそうな身体しているように見えた。周りは、絵本のような、分厚くない本が数冊。自分の寝ていたベットに、木で作られた積み木のようなものが置いてある。そこで煉は、この世界でのすべての記憶が無いことに疑問を抱く。


 (うん?転生だよな?なんで親や俺のこの世界での名前までわからないんだ?誰かの身体の乗っ取ったわけじゃあるまいし。ん~わからないな。)


 煉が自分のことに悩んでいるとき、部屋の扉が開かれ、大人の女性が顔をだす。


 〈ガチャ〉「……良かった~!目が覚めたのね!エミリカ~!カイルが起きたわよー!」


 〈ドタドタドタ!〉

 「ほんとに~!……カイく~ん!えい!」


 「うげっ!」


 「こら!エミリカ!カイルは目が覚めたばっかりで病気がちゃんと治ったかわからないんだから。そんなことしちゃいけません。わかった?」


 「は~~い。ごめんねカイ君。」


 「う、うん。………そ、そのさ。ごめんね。ぼ、僕、誰なのかな?あはは。……」


 「………」

 「どうしたのカイ君。変なこと言って?」


 そこから、女性の顔色が青くなり。あとから来た、エミリカという子供はずっと首を傾げていた。女性は、ベットで上半身を起こしている煉と頭を同じ位置に下ろし訪ねる。


 「じ…自分のお名前言える?」


 「…わからない。」


 「……この子と…私のことは?」


 「………ごめんなさい。」


 「……そう。エミリカ?お部屋で遊んでおいで。「お母さん?」……お母さんは、カイルをお医者さんのところに連れていくから。ねぇ?「?、うん。」」


 そして、カイルはお母さんと思われる女性とともにお医者さんらしき人物と会い、たくさんの質問を受け、最初に目覚めた部屋に帰ってきた。


 女性は思い詰めた顔をしていたが、部屋に帰ってきて数分。はじめてみた明るい顔に変わり、喋り始めた。


 「貴方の名前は、カイル。もうすぐ3才よ。私の名前は、マリー。カイルのお母さんよ。さっき抱きついてきた女の子は、エミリカ。カイルのお姉ちゃんね。お父さんは、お仕事だから。帰ってきたら教えてあげるわ。顔が一緒にわかった方が覚えやすいでしょ。話したいことはたくさんあるけど、なにか食べましょ?カイルは起きたばかりだから、お腹に優しいものを作るわね。」


 「あ……あの、皆のことは、なんて呼べば?」


 「ん?…気にしなくていいから。好きなように呼んで?じゃあ、ご飯作ってくるわね。」


 マリーは、そのまま部屋を出た行き、ご飯を作りにいった。煉は………いや、カイルは、自分のせいでマリー、母親を傷つけたことで本当のことを言おうと思ったが、母親を怖がらせるかもしれないし、自分達の子供はどこ!と言われるのが怖く、黙っていることを決めた。すると、部屋の扉が開き、エミリカが顔をだす。喋りながら近づいてくる。


 「カイ君?…大丈夫?」


 「……うん、大丈夫だよ。いろいろと思い出せなくなっちったんだ。」


 「そうなんだ。ならね?エミリカのことは、前みたいにお姉ちゃんって呼んでいいからね?」


 「うん。エミリカお姉ちゃん。」


 「エミリカ~!お手伝いしてくれる~!」


 「はーい!。あとでね、カイ君!」


 そのあと、エミリカお姉ちゃん、お母さんとカイルはご飯食べ、部屋に戻り。そのまま寝てしまうのだった。そして夕方、外の方から鐘の音が聞こえてくる。

 〈ゴーン!ゴーン!ゴーン!〉

 「ん?…なんだろう?鐘?…どうしたんだろう?」


 すると、男性の声が家に響く。


 「帰ったぞ~!マリー~!エミリカ~!」


 「おかえ~り!……えい!」


 「おかえりなさい。ライザック。少し話があるのだけれど?…エミリカは、お片付けしておいて。」


 「うおっ!エミリカ!よしよし!……………ん?話か?わかった。エミリカ、ちゃんとお片付けしてくるだぞ?」


 「はーい!」


 カイルやエミリカには、聞こえないようにライザックとマリーは、今日のカイルのことを話す。

 まず、カイルが目を覚ましてくれたこと。

ただ、カイルは、3年間のことを思い出せないこと。といっても、覚えていたとしても主に数ヶ月程の日常のことなのだが。やはり、

カイル自身の名前や家族のことが思い出せないことにマリーは、心配になっていた。


 マリーとしては、記憶が無くとも愛する子供にかわりはないのだが。カイル自身の今後の精神面が不安だったため。父親のライザックに今後のどうするか軽く相談したのだった。するとライザックは、気にした素振りもなく、カイルが目を覚ましたことに喜び、今までの記憶が無くとも、これからのことの方が大事だと言い。カイルに会いに行くのだった。そして、マリーはライザックを父親と教えるため後を追う。


 〈バタン!〉


 「カイル!目が覚めたか!…よかったよかった!体調はどうだ?なにか具合が悪いところはないか?」


 「う…うん。大丈夫。あの、」


 「ライザック!…ふぅー。カイル。この人がお父さんよ。」


 「ああ!お父さんだ!よろしくな!」


 「うん。おとうさん。」


 その後カイルは、おかあさん、おとうさん、お姉ちゃんと夜ご飯を食べ少しずつ打ち解けていった。



 月日は流れ、転生から1ヶ月が経った日。カイルは、家族と庭で話していた。


 「おかあさん? 「どうしたの?」 …あのね?おとうさんは、朝はやくから運動してるけど、何をしてるの?」


 「そうね。お父さんは、冒険者をしていてね?Bランク冒険者なの。それで今は、村の皆を魔物から守るために見周りや目撃場所に行って討伐したり。ギルドの依頼でお仕事をするのよ。だから、その身体づくりね。」


 そこから、いろんなことを聞いていくが子供の身体のため、すぐに眠くなり、寝てしまう。


 「ふふふっ♪ おやすみ、カイル。」



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登場人物の容姿

・カイル=  髪は、銀髪。顔はかなり整っていて目は青色で少しつり目でカッコいい系。

 身長は、3才のため年相応。


・エミリカ= 髪は、赤髪で胸元までのばしている。こちらも顔はかなり整っていているが可愛いと言うよりかは、美人系。目は、カイルと同じ青色。どっちかというとつり目気味。身長は、6才のため年相応。


・ライザック=  赤髪の短髪。目元に特徴はなく、赤色の目をしている。 体格はガッチリとしていて、ワイルドな感じ。頼りになるいい兄貴分のような雰囲気。


・マリー=  銀髪の髪を腰までのばしている。美人系の顔の整い方をしており。目はつり目気味で青色の目をしている。プロポーションは、胸とお尻は程よく出ており腰はくびれている。色気はあるが。おしとやかな雰囲気の方が強いため。優しそうなお姉さんのような感じ。








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ただ転生して楽しく暮らすはずが、厄介な事態に巻き込まれる。 @shirogane-ryuku

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