1しょうがい 短編 2

牛寺光

第1話

私は今やたら大きい屋敷、大平邸に住む足の不自由な大平めいの使用人をしている。使用人と言っても何か絶対にしなければいけないとかじゃなくて歳の離れたお姉ちゃんがいたらこんなんだろうみたいな関係。一応様付けで読んでるけど人目のないところだと、めいお姉ちゃんとかだし。めい様からも名前の鈴花を縮めて鈴って呼ばれてるし。

三ヶ月前までは私は生まれたこと、ひいては親に感謝したことなんてなかったし恨んで今後も生きてくと思ってた。ただこの考えを三ヶ月前に捨てざる終えなくなってしまった。

三ヶ月前このめい様専属の使用人になってから全てが変わった。だから心の中でもめい様と呼ぶ。

そして今日は休日。普段は趣味の料理や買い物をして過ごしているのですが今日は映画を見てすごすらいし。DVDが机の上に置いてあった。それもホラー系。買ってきたのはめい様のお父様でしょう。この人はめい様のために使用人一人雇うほどめい様のことを大切にしているし仕事もできるらしいすごい人。この家には他にもめい様のお母様とお兄様、そしてそのお兄様専属の使用人の富士涼さんという女の人がいる。でも私とめい様、お父様以外映画がホラー系だと聞いてどこかえ行ってしまった。今日は午後から天気が悪くなるらしいみたいだけど大丈夫だろうか?


ホラーの映画は初めて見たけどあんまり怖くなかった。起きたら親がナイフ振りかぶってきた時の方が怖かった。

ただめい様は怖かったらしく途中何度も服の袖を掴んだり抱き着かれたりした。なんかよかった。

そして周りが暗くなってきて時計を見たらもう六時。ご飯の準備を忘れてた。めい様は料理が好きだけどいつもやってもらってたら話し相手になって、一緒に買い物行ってるだけでお金を貰ってることになってしまう。それは申し訳なくて私がお願いして作らせてもらってる。お兄様の専属メイドの富士さんに料理を作って貰うともしこの世の中から食料が富士の料理以外全て無くなったとしても食べない方がいいレベル。あれは生物の食べるものじゃない。だけど私は料理は親に物理的にも比喩的にも叩き込まれてるから人様に出してもいいものを作れると思う。唯一と言ってもいい富士さんに勝てるところ。


台所で料理をしていると窓に雨が当たる音が聞こえる。めい様が車椅子をガタガタ言わせながら台所まできた。お父様どうした?リビングにいたはずだけど。「めいお姉ちゃんどうしたんですか?」「お姉ちゃん呼びでなんか元気出ました。ありがとう。」「お父様どうしたんですか?」「なんかさっき電話きて仕事行っちゃてリビングに一人で心のボソかったんです。」お父様、どこか行くなら声をかけろ。用意しちゃったじゃん、これどうするの?まあ帰ってきたら食べて貰おう。ということで台所に置いておく。「そろそろご飯できるからリビング行きません?」「わかった。だけど絶対離れないでね。離れたら泣きますから」泣いてるめい様を見てみたいけど泣かせるのはどうかと思うから我慢する。ようやくリビング。服の裾を掴まれてたから動きにくくていつもの倍ぐらい時間かかっちゃった。そしてご飯も食べ終わり一緒に皿も洗った。後はもうお風呂に入って寝るだけ。「めいお姉ちゃんお風呂入りましょう。そうすれば後寝てれば嵐も去って晴れてますから。」泣きそうな様子で断られました。理由は多分さっき見たホラー映画にお風呂の鏡に幽霊が映っててみたいな描写があったせいだと思う。「一緒に入ってくれるならいいよ」…なんか言ってるんですけど。いや私にやましいことはないしめい様の方から提案したことだから大丈夫。

なんかいつもの五分の一ぐらいしか入ってられなかった。ついでにもうのぼせそう。お風呂上がる時も片時も離れずついてきてた。

そして寝る準備をして寝室に向かう。「ねえ、鈴ちゃん」いつもは遠慮とか皆無なめい様が遠慮がちに聞いてきくる。「なんでしょう。」「お花摘みたいんだけどついてきてくれない?」なるほど、トイレに行きたいけど怖くてついてきて欲しい、ただそれを仮にも年下の私に頼むのは恥ずかしいということか。トイレの前まで移動してきた。ドアを開けて中に入る、何故か私の手を引いて。「何ですか。」頑張って足に力を入れて食い止める。「こんなところに一人にしたらわたしともう会えないかもしれないんだよ。それでもいいの?」会えないのは困る。謎理論に負けトイレに一緒に入る。幸いめい様のためお父様が部屋という部屋を車椅子が通れるように幅を広くしたりスロープをつけたりしてるので広いので狭いということはない。

目と耳を塞いで蹲ってたら終わってた。耳を塞いでても聞こえたあの音のことを考えると興奮してきた。

そして気づきいたら朝だった。

「おはよう、鈴ちゃん。鈴ちゃんがわたしより起きるの遅いって珍しいね」何故か隣にめい様がいた。めい様は足の都合上一人ではベットに上がれないため一晩一緒に過ごしたということ。そこまで考えると顔が熱くなってきて。気づいた時に歯またベットの上だった。



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