第2話 学力テストでも爪を隠す

俊と一緒に学校に登校すると、黒板に連絡事項が書いてあった。

       「明日、学力テストを実施します!!!」

まあ想定はしてたが、実際めんどくさい。隣の俊も苦笑いして、顔が引きつっていた。

「もうテストかよ〜俺この学校来てから1回も勉強してないぜ」

「まあ、徹夜でなんとかなるレベルだろ」

まあ実際試験は3教科しかなく、ここの高校に入れたなら解ける問題しか出ないだろう。まあ俺は何もしなくて余裕だけど…

「全部60点ぐらいに合わせればいいか」

「なんか言ったか?」

「なんでもないお」

そう言って授業の準備をし始めることにした。

今日は4時間授業なので昼前に帰れると思ったが、自分の担任の授業でおもわず寝てしまったため、罰として放課後に雑用をやらされることになった。

「初回の授業から寝るなんていい度胸しているじゃないか、鷹野。」

そう言ったのは担任の羽鳥茜、24歳。現代文を担当している。担任になるのは初めてらしいが、容姿が大人っぽく、ベテランにみえるといっても過言じゃない。

その見た目からわずか1週間あまりで男女問わず人気がある。正直、俺のどタイプだが、すでに結婚している。非常に残念だ…

「先生が授業の途中に、夫の愚痴言い始めるからじゃないですか〜」

「反省してないようだな!?夫の愚痴120分コースがお望みか?」

「どうもすみませんでした」

そう言っているうちに空き教室の前についた。ドアを開けるとダンボールなどのゴミが散乱していた。

「この部屋を使う予定なのだが、どうもダンボール置き場になっていたらしくてな。鷹野、このダンボールを全部職員玄関の横に運んでくれ」

えー?この量1人で運ぶの?絶対1時間はかかるじゃん。そう思ったが、口に出すとめんどくさいことになると思ったので素直に従い、運ぶことにした。

運んでいる途中で俊に会い、手伝うようにお願いしたが、バスケ部の新入生のミーティングがあるらしく、断られた。俊はバスケ部に入ったみたいだが、俺は部活に入る気は無い。本気を出せば運動部ならすぐにレギュラーになることは可能だが、それはしたくない。絶対に…。かと言って文化部に入るのも嫌なので今の所、何にも入らない予定だ。

ようやく半分の作業が終わったとき、1人の女子が部屋を訪ねて来た。

「お手伝いしに来ました!!!」

そう言って部屋に入ってきたのは学年1の美女の大鷲凛だ。もう噂ではなく、確定したらしい。

「大鷲さんも先生にこき使われたの?」

「今日、現代文の教科書を忘れちゃって」

正直、大鷲凛は話してて何が本心かわからないため、苦手である。しかし、完璧美女でも忘れ物をするものなのかと思い、少し緊張が和らいだ。

そういってダンボールを抱えると、学力テストについての話になった。

「明日テストあるけど、大和くんは大丈夫なの?」

いきなり下の名前で呼ぶのか。コミ力高えな。

「まあ、平均点は超えるように頑張ろうと思う」

「みんなどんぐらいとるんだろうね〜」

「まあ難易度次第だよねー」

「そうだね〜!お互い頑張ろう!」

そんなたわいもない会話をしながら運んでいるとあと1人で終わる量になった

「最後は俺が持っていくから先帰っていいよ」

「え〜そんなの悪いよ」

「俺ついでに職員室に用事あるからそのまま帰れるし」

「それならわかった!ありがとね♪」

そう言って大鷲凛は帰っていった。もちろん職員室に用事あるというのは嘘であり、もう1度教室に戻らないといけない。まあこれで帰れると思えば、そんな苦でもない。

「帰って、漫画みよ」

そう思い、少し駆け足で最後の仕事を終わらせた。

次の日、教室の雰囲気がいつもと違っていて皆熱心に勉強をしていた。

なぜこんなに皆本気になっているのかというと、この学校は生徒のやる気を出させるため、あらゆることを対決形式にしている。ポイント制らしく、そのポイントが溜まっていくとあらゆることに使えるらしい。俺は寝ていたので何に使えるか知らないが。

席に座ると同時に先生が入ってきてみんな教科書をしまい始めた。

「うまく調節しないと」

俺は過去の過ちをしないため、1人だけ違う雰囲気に包まれていた。

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能ある鷹は爪を隠せるだろうか… infact @infact

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