歩道橋から墜ちたダンサーと、避けようと柱に追突した運転手。二人は亡くなり、ダンサーは自殺。運転手は事故として片付けられましたが……。
事件の真相と動機が、この物語の鍵となるわけですが、謎が解き明かされたときゾッとしました。ミステリーとホラーって紙一重といいますか、同じ線上にあるのですね。

タイトルである『舞姫は微笑む』
言葉だけなら美しいですが、さてその微笑みとはどのようなものであったでしょう？そしてその微笑みの意図とは？
読み終わった後、舞姫の微笑を想像してみてください。……嫌な夢を見そうです。

ダンサーである『あいら』の歩道橋からの飛び降り自殺。運悪くその下を運転していた小学教員である『友梨』はそれを避けるためハンドルをきり歩道橋の柱に激突し死亡。
この事故を担当した刑事の『荘司』は刑事の勘ともいえる違和感をこの事故に感じとる。

荘司が聞き込み、身辺調査を進めていくうちに狂気がちらつき始め、そして真実を知ったときこの事故の本当の姿が見える。

ミステリーの中に巧妙に隠れたホラーが突然姿を現し、最後の一言まで恐怖を感じるこの感覚を是非とも体感してほしい。