カツカレーの日
今日の晩飯はカツカレーだ!作り方は簡単。スーパーの惣菜コーナーで売ってるトンカツを買う、適当な大きさに切り分けてからレンジで温める、安っしーレトルトカレーも温めておく、皿に飯を盛る、トンカツのっけてカレーかける、できあがり。
マジでこれだけ。そしてマジでうまい。300円とかからずにこんなにうまいカツカレーが食える。普段は業務スーパーで売ってる2キロ入りの鶏肉(をジップロックに小分けにして冷凍したもの)と安い日に買った卵とモヤシでなんとか食いつないでる俺からしたらこれはもう馳走も馳走。人権だ。これが俺の人権、その最後の砦だよ。
こうして貧しい中でもなんとか自尊心を保つ飯を食うことこそ人生において最も肝要と言える。貧しさの中で工夫を凝らして生きていくことだ。イヤ〜、ホント楽しいね。貧しさを乗りこなしちゃおう!人生、最高!
・・・・・・そんなわけあるかボケが。何をわざわざ毎日クソみてえな労働なんて最悪な思いした上に日々をこうまで貧しく生きなきゃならねーんだよカスが。殺すぞゴミ供がよ。
しかし、そんな思いを貧し安カツカレーが優しく包み込み癒してしまう。気持ちばかりの牙も丸められてしまう。せめてもの人権と癒しを求めて作った貧し安カツカレーに文字通り丸め込まれてしまう。自分で自分を丸め込むことの連続。貧しさから抜け出せない象徴こそこの貧し安カツカレーだった。
だからと言って貧し安カツカレーを封印して牙の尖りを保ったとてどうなる。その矮小な牙であまりに強大すぎる社会に対して何ができるものか・・・・・
こうして俺は一生貧しさを乗りこなして死んで行くのか?それは駄目だ。貧しさは否定しろ。否定する・・・・・・。どうやって・・・・・?ああ、やっぱり駄目だ。俺は一生貧し安カツカレーに自ら丸め込まれて終わって行くんだ・・・・・・駄目だ・・・・・・駄目だ・・・・・・
炙の回廊 笹身肚些王丸 @struggle_bowie
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