第19話 イジメっ子に頼られてみた結果w

「うーん、それ、本気で言ってる?」


「…………そう、……だ」


 体育館裏、島崎くんが僕に向かって苦虫を噛み潰したような視線を向ける。


「……残念だがよ? 俺が助かるには、もうお前に頼む以外には思いつかねーんだわ」


 放課後、僕は島崎くんに呼び出された。


『またいつものアレかな?』


 なんて思って準備運動しながら体育館裏に行くと、そこには何やら辛そうな島崎くん。


 しかも話を訊いてみると、どうやら怖い不良の人を怒らせちゃって、このままじゃ殺されそうだから僕に助けて欲しいとのこと。


 何度もイジメて、仕返しされた相手に助けをこう。


 それがどれほどプライドに反する行為なのかは島崎くんの顔を見るとわかる。


 わかるけど……。


「……ねぇ」



「あぁ」


「それ、僕が了解すると思う?」


「……くっ」


 そう、そこだけが不思議だ。今までの関係性的に、僕が彼が困ったからといって助けるなんて選択肢は見えてこない。


 そりゃあ、今の僕ならばそれくらい造作もない。相手が強ければ、それに合わせて自分を更に強く書き換えればいいだけ。


 けれど心のうえで無理がある。


 僕が島崎くんのお願いを訊いて。


 僕の行動で島崎くんの不幸が取り除かれて。


 僕の作り出した結果に島崎くんが感謝する。


 控えめに言って反吐が出る。


 だから僕は……。


「わかった、助けるよ」


「……っ!」


 オドオドと絶句する島崎くんを見て僕は、小さく笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【チートコード】で自分を書き換えた結果、現実世界を無双できたので世界に復讐します。 ゆきだるま @yukidarumahaiboru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ