第6話 迷走と混乱と
眠りたい。
眠りたいのに眠れない。
部屋はあの日以降照明をつけてはいない。
いや、照明を点けると言う行為が出来なかった。
太陽に限らず明るい照明の下に自分の身体と言わずその心までも曝け出す事に恐怖を感じた。
理由なんてわからない。
ただただ暗闇の中、無音の中で過ごすと少し心が落ち着くと同時に心の奥からまた違った更なる恐怖がせり上がる。
どうして何時もの様に眠れないのだろう。
ほんの数日前まで何もせず普通に眠れていたのに……。
なのに何故薬を飲んだのにも拘らずに眠れない⁉
心の中で悲鳴に近い叫びを何度も上げる。
暗い寝室の中でぽつんと一人、目を閉じ何時もの様に眠ろうとすればする程心……感情は益々昂っていく。
眠れない事に苛立ちと焦りからの怒り、悲しみと切なさに悔しさが綯交ぜとなって時折昼夜問わずに大声で奇声を発してしまう。
そうして考えれば、落ち着かなければいけないと思う程に心はどんどん逃げ場を失った果てに私はふと何気に思い至る。
ああ、今死んでしまえばきっとこの苦しみから解放されるだろう。
漠然と、何気に思いついたかの様にそんな考えが頭と心へ
鬱状態と診断されてほんの数日経過した頃より私は安易にもそんな風に自殺願望を抱くと同時に、何度となくそれを実行するのであった。
でも心の奥底で本当は命を絶ってしまいたい、この世からいなくなってしまいたいなんて思ってはいない。
ただ私はこの不眠地獄より解放されたかった。
出口のない暗闇の中で数日藻掻き苦しむ私が見つけ出した脱出の糸口は自死による魂の開放……だったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます