少なくともわたしの中では、『旅』には2つの挑み方がある。
ひとつは、なーんにも考えず、構えず、しゃっちょこばらず、ただ見知らぬ土地の空気に身を委ねてたゆたうタイプ。
もう一つは、情熱とか愛とか執着とかいう泥臭い感情に突き動かされて、周到に準備して挑むタイプ。
どっちが良い悪いじゃなくて、私の場合、旅に行こうと思い立った時に、そのどちらかに完全に心情の針が振り切られる。
久納さんのスゴいのは、ここに記された手記を読むに、そのどちらも、絶妙なバランスで共存しているところ。させているところ。
いやいや、不器用な私には無理筋だわ。
ただ、どちらにせよ、旅を豊かにさせるのは、敏感に感性のアンテナを張り巡らすこと。
この手記の中には、そういうTIPSが満遍なく詰まっている。
いいんです。どこでも。
熱海でも、富士五湖でも、摩周湖だろうと竹富島だろうと。
感性のアンテナを張っていさえすれば、自分の住む二つ先の見知らぬ駅に広がるで街あっても、いいんです。そのアンテナが、旅を彩ってくれるんです。
この手記は、そんな何気ないけど大切な事を気付かせてくれる作品。
ちなみに私は、10代後半から20代前半の多感な時期を過ごした、アメリカという近くて遠い、あの国特有の国の空気を思い出してしまって、ちょっとうるっときてしまった笑
ニューヨークじゃなくても、全然いい。
旅に出ようと思っている方、ここ、読んでみてください。
その旅を彩るヒントが詰まっています。
一人旅をしたことがないひと、その勇気がなかなか持てないひとも。
いいですよ、一人旅。