小ネタ 出雲の「神在月」は無かった?

◇神無月・神在月とは?


 十月なので神無月・神在月に係わるネタをご紹介します。結論部を読めば古代史ネタと欠片も関係ない気がしますが、一応神話関連と季節ネタということでご理解ください。


 十月になると神々が出雲に集まるのが「神無月」の由来であり、逆に出雲では神々が集まると言われており、出雲だと十月が「神在月」と呼ばれている事は良く知られています。


 十月前後になると神々を送り迎えする事がかなり広い地域に渡って行われており、神々の出発をお上り、帰来をお下りと呼び、そのほか神立ち・お飛び・神渡しなど地方によって種々の名前があります。


 神々の不在期間を一ケ月とするものが多いですが、長いものは二カ月に及ぶ場合もあります。九月三十日を出発の日、十月三十日を帰来の日と言うものが多いですが、一定しない地方もあり、出発の日を言って帰着の日を言わない土地もかなりあります。


 九月二十三日に和歌山県の一部で山の神が出かけられるとしてその祭りがあるらしく、概して九州方面は日取りが早く、北に行くほど次第に遅くなる傾向があるようです。また、対馬や佐渡などでは多くの神々が一度に出発されるのではなく、日を異にして出発し、また帰ってくるように伝えています。⑴


 神様でも足が速い神様と遅い神様が居られるのでしょうかね?


◇出雲の神在月は根拠が無い?

 出雲では神々が集まるとされ、十月が「神在月」と言われているのは良く知られている事は述べましたが、実は根拠が無いらしいです。


 出雲でもシハ送りまたはカラサデの神送りと言う行事がこの期間にある事⑵と、出雲大社や佐陀神社では神在月として収穫祭を行いますが、その初見は近世初頭の文献以上に遡る事は無いそうで⑶、だとすると神在月と言うものが怪しいものになってしまいます。


 余談ですが、日本人は神様のお見送りを忘れ、ハロウィンが如きで得体のしれない西洋の妖怪なんぞ受け入れて平気なのでしょうか? まぁ、ケルトの妖精は神々(ダーナ神族)が零落した姿という説もありますし、『侵略の書』等で見られる彼ら本来の姿は日本神話と共通している部分も多いので寛容な日本の神様は仲良くなさっているのかも知れませんが。。。


◇参考文献

『民俗学辞典』柳田國男監修 東京堂出版

⑴⑵122・123ページ「神送・神迎(歳)」⑶26ページ「出雲信仰」

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