第9話揺るがない距離

二限目の授業が終わり、休憩時間になると優奈が私のもとへと駆け寄ってきた。

「職員室に行ったら、一年のフロアの廊下で先輩が泣きじゃくってたとかなんとかって噂話してたんだけど……後輩がさ。陽香だったりする?先輩って」

「えっ……いやぁー違、うけどぉー」

「バレバレだって……私の前でそんなことしたことないじゃん。魅力無いかなぁ、私って……一方通行だねーつくづく、はぁー……」

「あっ、いや……」

彼女がため息を漏らしたことにより、タイミングを逃してしまった。

私と白音さんの関係性に対してではなく、私と優奈の関係性を的確に表した『一方通行』という言葉セリフに胸が騒ついた。

正しく、私と優奈かのじょの間にある縮まりようのない距離を表したモノだ。


優奈とは、友達以上恋人未満という関係性には至らない。

私は、優奈かのじょに恋愛感情を抱けない。

優奈かのじょとは正しく、紛れもなく、『』だ。




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活発な涼原さんと静かな後輩 闇野ゆかい @kouyann

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