直観ってなんぞ?

スズヤ ケイ

※これは個人の感想です

 KAC20213のお題が発表されましたね。


 「直観」と聞いても、正直私はまったくピンときませんでした。


 直感はともかく、直観なんて言葉は使った事もありません。


 そこで、作品を書くために直感と直観の違いを自分なりに調べて解釈した結果を、せっかくなのでここにまとめておこうと思います。

 あくまでざっくりとしたイメージを伝えようとしたものなので、丸ごと鵜呑みにしないで下さいね。



 まずは私がぐぐった範囲の結果を要約して書きます。



 ・直観とは

 提示された事柄について、自分の中に蓄積した経験や記憶を元に、推理や思考を挟まずに正解を導き出すもの。

 本能や勘とは別。


 ・直感とは

 自分が未知の事柄に対して感じ取った気配。知識や経験によらず、説明がつかないもの。第六感ともいう。


 大雑把に言えばこんなところでした。



 ではここから、具体的に解説していきますね。



 直観とは、これに基づいた行動は全て後からきちんとした理由が付けられ、なおかつ行動を起こす間に思考や推理が存在しないもの、とされています。

 自分でこうしよう、と考えてからの行動は、すでに直観ではないのですね。


 砕いて言えば、知っているからこそできるとっさの判断、その為の引き金と言いましょうか。


 例えばAさんが川辺を歩いていて、うっかり足を滑らせて川に落ちたとします。


 その際、もしAさんが水泳を習っていたとしたら、無我夢中で泳ぎ出して岸辺を目指す事でしょう。


 その時こそ直観が発揮された時と言えます。


 これはAさんが水に落ちた瞬間に、


 ・何もしなければ溺れる

 ・溺れれば死ぬ

 ・死にたくない

 ・ならどうする

 ・泳ぐしかないやんけ

 ・泳ぐにはどうするん?

 ・手と足を使え!

 ・あ、そうか!

 ・なんやったら昔得意やったクロールがえんちゃうか?

 ・おk、それで行こう

 ・それでどっち行けばええの?

 ・とにかく岸に上がれるとこや!

 ・おっしゃほないこ!

 ・おらああああああああああああああ!!


 という脳内会議を即座に行った結果です。


 これはわざわざが考えた訳ではなく、それ以前に身体が一瞬で反応して行動に移したものです。


 水中のAさんは慌てていますが、その意識の下には冷静なもう一人のAさんがいます。水に落ちる直前の景色をさりげなく覚えていて、今いる場所からどちらの方向が岸なのかを脳に記憶としてインプットしていました。


 そこへ過去に習得した水泳という知識が合わさり、もう一人のAさんが上記の会議を一瞬で処理したという訳です。


 つまり泳いだ事はただの結果であり、それを導き出したもう一人のAさんが「直観」と呼ばれるものです。

 それが働いた時こそ、思考を介さずに記憶や経験を使った行動である、と判定されます。



 逆に、溺れれば死ぬ事を知らない、泳ぎ方が分からない、などの経験や知識不足があった場合には直観が働かない、つまり適切な行動が取れないという事になります。


 そして溺れれば死ぬ事はわからなくても、溺れている状態が怖い、苦しいと感じる事は本能によるものです。

 その結果として闇雲にもがくという行動はただの反射であり、直観とは別とされます。



 さて、ここまではとっさの行動で例えました。そこから話を発展させますね。



 Aさんは以前落水した事によって、水辺の近くに行くと「なんかいやだな」と思うようになり、知らず知らずの内になるべく水辺を避ける、という習性が身に付きました。


 こういったトラウマから来る意図しない行動も直観にカウントされます。


 過去にあった不運な出来事を再発させないため、意識下で身体が警告しているのです。


 このように直観とは、あくまで自己が蓄積した知識や経験に基づいた論理的な思考を、自分がこうしよう、と思考するまでもなく行動に移す能力を指します。


「なにを言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかったし今でもまだよくわからんけどなんとかなった」、という九死に一生的な場合は論理的な説明が付かないので、「直感」が働いた結果助かったと言えるケースでしょう。




 ところで、クイズや推理では、よく「閃き」という言葉が使われますよね。

 どうやらあれも直観に含まれる一つの要素のようですよ。


 一番分かり易いのは早押しクイズです。

 問題を見た瞬間に、問われている内容を理解し、その本質を見抜いて解答ボタンを押して、正解を口に出す。


 この一連の流れはずばり直観の賜物です。


 ここで言う解答。

 つまり、自分の知識から正解を導き出すという作業に必要なのが、「閃き」と呼ばれるものです。


 自分の中にある知識の引き出しを開けまくって、正解へのヒントになるものがないかどうかを見付ける力、と言いましょうか。


 しかしこの「閃き」を発揮するには、まず元となる知識を引き出しに入れておく必要があります。


 知識が無い場合、問題をいくら見てもピンとこないので、「うーん」と思考にハマってしまう事になり、直観が働くはずもないのです。


 逆に知識があったとしても、一考してから思い出す、というプロセスを挟んでしまうと、それはもう直観ではありません。ただの物知りさんです。


 正解となる知識を持ち、問題を理解する読解力と、正解を出すための「閃き力」を駆使して解答を引き出す。

 それと同時に解答ボタンを押し、答えを言葉として表してみせる。


 これらを瞬時にできてこそ、直観が優れたクイズ王だと呼べるのです。



 ちなみにこの定義を推理ものに採用すると、探偵が1秒間でも推理をしてしまうとその時点で直観としては失格となり、「閃き」止まりとなってしまいます。



 なかなかシビアな判定ですよね。



 その一方では、ものすごーく雑に言ってしまうと、人が手足を動かす事自体がすでに直観だという意見もありました。


 確かに私達は動く際に、いちいち思考で身体をどうこうしようと制御している訳ではありませんよね。

 どの目的で動かそう、と考えるのは意思ですが、実際に動かすのを担当しているのは身体の方なのです。


 そう考えると、今度は適用範囲がとてつもなく広がってしまうのですが。


 「直観」とは、本当に奥の深い摩訶不思議な言葉です。



 まとめ


 ・直観とは

 自分の知識や経験が下敷きとなって発動するもので、それらの習熟を通じて精度を高めることが出来る。


 ・直感とは

 虫の報せや霊感、第六感といった科学的には説明が付かない事象であり、基本的に個人特有のもの。訓練によって習得する事ができない。


 こんな感じで分別してみました。




 さてさて、それっぽく書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。


 解説サイトごとにそれぞれ捉え方が違うので、まとめるのも一苦労です。どこかおかしな点があっても、笑って見逃してやって下さい。


 ただ、こういった勉強の機会になったという点では、今回のお題は意義があるものだと感じました。


 私自身はうまくこれらを作品に落とし込めたか疑問なのですが、もしもこの記事を読んだ事で、どなたかの創作の参考になれたとしたら幸いです。


 ここまでご覧頂き、ありがとうございました。






 ちなみにこちらが「お題 直観」として参加した作品となります。ついでに読んでいって頂ければ嬉しいです。


「犬猫論争 ~猫派の主張編~」

https://kakuyomu.jp/works/16816452219067458490

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直観ってなんぞ? スズヤ ケイ @suzuya_kei

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