双子の妹の一人が俺の布団に潜り込んできて、どっちの妹か当ててと言ってきたんだが……正直、無理ゲーですよ?

真木ハヌイ

ここにいるのはどっちの妹?

 深夜二時。いつものように自分の部屋の布団で眠っていた俺は、妙に重苦しい感触で目を覚ました。


 なんと、俺の布団の中に誰かがいるではないか。


「うわっ!」


 びっくりした。こんな時間にいったい何事だろう。


「えへへ、起きちゃったね。お兄ちゃん」

「お、お前は――」


 俺の妹……のうちの、どっちか!


 そう、俺には双子の妹がいるんだ。名前はヒナタと、アカリ。どちらも中学三年生で、どちらも美少女だ。間違いない、今の声はそのどちらかのものだ。


 ただ、そのどちらかかというと、俺にはさっぱりわからんのだが……。


「お前、いきなりなんだよ? お前の部屋はここじゃねえだろうがよ」

「私、怖い夢見ちゃったの」

「え」

「だから、お兄ちゃんと一緒なら怖くないかなって……」

「そ、そう……」


 だったらしょうがないかなって――って、そんなわけあるかあっ!


「い、いや、これはさすがにまずいだろう。お前はもう中学生で、俺はもう高校生なんだぞ。それがこんな――」

「だって、私たちきょうだいじゃない」

「あ、はい」

「きょうだいなら、一緒のお布団で寝ることもあるでしょ?」

「あ、あるような、ないような……」

「あるよー」


 ヒナタだかアカリだかは、そこで俺にぎゅっと抱きついてきた。二つのやわらかいふくらみが俺の胸板に当たる。さ、さすが中学三年生。もうすっかり発育しきってるなあ。


 って、俺は何をドギマギしてるんだ! 仮にも妹だぞ? そりゃ、つい最近親の再婚でできた血のつながらない妹だが……だからって兄という立場上、妹に欲情するとか絶対にあってはいけないんだ!


「い、一緒に寝る相手なら、他にもいるだろう? 俺のところにわざわざ来なくても」

「えー、誰?」

「そりゃ、お前たちは双子の姉妹なんだから、そのどっちかのところに――」

「どっちに?」

「えっ」

「私って、ヒナタとアカリ、どっちのお部屋に行けばいいの?」

「え、えーっと……」

「あ、もしかしてお兄ちゃん? 私が誰だかわかってない?」

「う」


 図星である。


「しょ、しょうがねえだろ! お前ら、双子で見た目も声も同じなんだから!」

「えー、なんで? お兄ちゃんなんだから、妹が誰だか普通はわかるよ?」

「わかんねえよ」


 子供のころからずっと一緒だったってわけじゃねえんだぞ。つい最近、兄妹の関係になったんだぞ。双子の見分けがつくわけねえだろ。


「もうどっちでもいいから、早く俺の布団から出ろよ」

「やだ! お兄ちゃんが私が誰だか当ててくれるまで出ない」

「当てたら出るのか?」

「うん」

「ちなみに、外したらどうなるんだ?」

「朝まで眠れないように、お兄ちゃんにいやがらせしちゃう」

「……どんな?」

「うーん? 例えばお兄ちゃんのここを足でいっぱいいじめて、お婿に行けないようにしちゃうとか?」


 と、妹は太ももを俺の股間に押し付けながら、布団の中で笑ったようだった。


「こ、ここを、足でいっぱいいじめるのか……」


 それむしろご褒美ですよね? いやがらせでもなんでもない……って、俺はまた、何をときめいているんだ!


「い、いいぜ? とっととお前が誰か直観で当てて、ここから追い出してやんよ!」

「うわあ、すごい。さすが私のお兄ちゃん」

「あ、でも、ヒントはください……」


 マジでこのままだと何もわからないので!


「ヒント? そうねえ、どこか触ってみる?」

「え、いいの?」

「いいよ。私のお兄ちゃんだもん」


 と、妹は俺の手を取り……いきなりパジャマの上から自分の胸に押し当ててきた! むにゅ! そのおっぱいの、やわらかい感触が伝わってくる……。


「ちょ、おま……いきなりここって……」


 なんなのこの妹ちゃん! 俺を兄として試しているとでもいうのか!


「あのね、私たち、双子でもおっぱいの大きさは微妙に違うんだよ?」

「え、マジか!」

「おっぱいって、脂肪と筋肉からできてるでしょ? どっちも、普段の生活でつき方が変わってくるでしょ?」

「確かに……」

「だから、ここを触れば、私がどっちの妹だか、お兄ちゃんにもすぐわかるはずなの」

「な、なるほど!」


 これはあくまで二人を判別するための作業! 決して俺は、いやらしい意味で妹の乳を触っているわけではないということだな!


「よ、よし……お前の胸、さっそく調べさせてもらうぞ……」


 俺は今度は自ら手を伸ばし、妹のおっぱいをパジャマの上からわしづかみにした。


 むにゅう! 圧倒的なやわらかさ!


 おおおお! 俺は今、美少女中学生のおっぱいを揉みしだいているっ! なんという至福! もみもみ……もみもみ……。


「や……だめ、お兄ちゃん……そんなに激しく手を動かしちゃ……」


 妹は何やら身もだえし始めたが、


「何を言う! 揉まなきゃおっぱいの大きさがわかるわけないだろうっ!」


 と、俺は叫ばずにはいられなかった。何のために乳をもんでいると思ってるんだ、このバカ妹が! もみもみ……もみもみ……。


 しかし、当然のことながら、おっぱいを揉んでも幸せな気持ちになるだけで、そのおっぱいの持ち主がどっちの妹なのかはさっぱりわからなかった。二人それぞれで大きさが違うという話だが、どっちがどれくらい大きいのかも俺は知らんのだし。


「お兄ちゃん、そろそろ私が誰だかわかった?」

「そ、そうだな……」


 ヤバイ。これだけ揉んでおきながら、まだ何もわからんとは言えんぞ!


「ま、まあ、もうほとんどわかっているようなもんなんだが、もう一押しって感じかな?」

「もう一押し? あ、そうだ、じゃあこうしたら?」


 と、言うやいなや、妹は俺の手を取り、パジャマの下に潜り込ませた。


 突如、手から伝わってくる、すべすべの肌の感触……。


「お、おおおっ!」


 なんということだ! こいつ、パジャマの下は何も着ていない! そう、パジャマの薄い布地の向こうには生おっぱいしかなかった!


「ちょ、直接触ったほうが、大きさとかわかりやすいでしょ……」

「確かに!」


 この妹、さっきから説得力のあることしか言ってねえな。さす俺の妹。


「あ、でも、ち、乳首を指でいじったりとか、そういういやらしいことは禁止――」

「え、こういうふうに?」


 ぐりぐり。


「や……。そ、それはダメって言ったでしょ!」

「いや、ここもちゃんと調べないと、お前たち二人の違いがわからないし?」


 ぐりぐり。こちょこちょ……。


「ちょ、だ、だめっ! わ、私たち、きょうだいなんだからねっ!」

「そっか。お前ここをこうされると弱いのか。へえ……」


 俺は妹の制止を無視して指を動かし続けた。あくまで二人の妹の違いを確かめる作業だから何も問題ないはずだ!


 まあ、当然、そんなことをしても幸せな気持ちになるだけで(以下略)なわけだったが。


「お、お兄ちゃんの、いじわる……ばか」


 気が付くと、暗がりの中から聞こえてくる妹の声が、ちょっとかすれた、涙声になっていた。


 しまった、さすがにやりすぎたか。すぐに手をパジャマから引っこ抜いた。


「……で、これだけやったんだから、私が誰だかもうわかったよね? 答えて!」


 なんかもう、軽く怒ってるような口調だ。なんだよー、もとはといえば、お前が触れって言ったんだろうがよー。


「そうだな、お前は――」


 ヒナタか、アカリか。どうせ二分の一の確率だし、もう適当に答えちゃおう。外してもそれはそれで幸せな時間が待ってるっぽいしなあ。ぐへへ……。


 だが、その瞬間、俺ははっと思い出した。俺の二人の妹たちは、確か、それぞれのパンツのタグに名前を書いていたことを。洗濯した後、それぞれの下着がごっちゃにならないように。


 つまり……つまり、今それを確かめれば、こいつがそのどちらかだということは簡単に明らかになる!


「まあ、すぐに答えてやってもいいんだがな。せっかくだし、お前の尻のほうも調べさせてもらうわ」


 俺はそういうと、すかさず布団のすぐ横にあったスタンドライトをつけた。たちまち、涙目になっている妹の顔が俺の目に明らかになった。


「双子でも、尻の大きさはそれぞれ違うもんだろ?」


 俺はそのまま妹に近づき……、


「確かめさせてもらうぞ、お前の尻の大きさ!」


 そう言うと、妹のパジャマのズボンを下におろした! ずるっとな!


 よし、あとはパンツをめくってタグに書いてある名前を確かめればこいつが誰だかわかるはず――と、思ったわけだったが、


「あ、あれ?」


 なんということでしょう! そこにあるはずのパンツはどこにもなかった!


 そう、妹のやつ、パジャマの下はノーパンだった! 俺の目の前には今、何も履いてない妹の股間がある……。


「お、お兄ちゃんってば、いきなり何するの!」


 とたんに妹は顔を真っ赤にして、パジャマのズボンを履きなおした。


「な、なんでお前、ノーパンなの?」

「パンツに名前書いてあるから。お兄ちゃんに見られると、私がどっちだかバレちゃうから」

「た……確かに!」


 相変わらず説得力のあるセリフしか言わない妹だ!


 しかし、これではもう、俺はこいつが誰だか調べる方法はなさそうだ。いったいどうすれば……。


 と、俺が首を傾げたそのとき、


「あー、お兄ちゃんが妹にセクハラしようとしてるー!」


 なんともう一人の妹が部屋に乱入してきた。


「い、いや、俺はこいつにセクハラしてたわけじゃなくて……」

「いーけないんだ、いけないんだ。きょうだいでエッチなことしちゃ、いけないんだー」

「そうよ、このお兄ちゃん、ほんとにエッチなの」


 と、二人の妹たちはたちまち布団の上ではしゃぎながら絡み合い、すぐにどっちがどっちだかわからなくなってしまった。二人とも同じパジャマを着ているし。


 くそ、結局どっちの妹だったのか、当てるヒマなかったじゃねえか!


「お前ら、今何時だと思ってるんだよ! 早く寝ろ!」


 俺はすぐに二人の妹を部屋から追い出した。

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双子の妹の一人が俺の布団に潜り込んできて、どっちの妹か当ててと言ってきたんだが……正直、無理ゲーですよ? 真木ハヌイ @magihanui2020

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