第22話 素直な形

1台目のCR-Xは、バンパーも簡素なもので

そこがまた、シティー・ボーイズレーサーと言う感じ。


2代目は、バンパーも大きくなって。それはそれで高級になって。

良かったけど。ホンダのクルマはみんなそうで


最初=シンプル。


マイナーチェンジ=やや豪華、大きくなる


・・・だんだん、初期の雰囲気から遠くなる。

そういうイメージがある。これはバイクもそう。


僕が持っていたCBX750Fも、最初の少しは欧州仕様そのままで

シャーシダイナモに乗せると、カタログデータよりパワーがあったりした。


これを、MC雑誌が計測したりしたので・・段々マイルドになる。



まあ、ホンダはそう。CB750F(最初のOHC)のもそうだった。


そういうわけで、2台目CR-Xはなんとなく、面白みが足りない感じになってしまって。



1台目は、伊東から亀石を昇ると・・・

上り坂なのに、テールスライドすると言う面白いハンドリングで



これを「面白い」と感じる人向きの車だった。


ヘタは乗るな。



そういう、ホンダらしからぬ厳しい面があった。

スパルタン、と言うのかな。



慣れてくると、それが面白くて


カーブの入り口でそれを計算して、流しながら立ち上がり。




ターン・イン。



ちょっとハンドル切る。

ブレーキ。



ひょっ。


テールが出る辺りを計算して(流れてからでは遅い)。

ハンドルを戻す。と、テールが流れたところでハンドルまっすぐ。



テールの慣性を感じながらアクセル・ON.全開。


FFだからもともと流れるし。でも、テールが逃げてるから


アウトの前輪はなんとなくグリップする。



インの前輪が浮かない程度にアクセルON・・・全開。


これがコツ。



これがFFか、ってくらいによく曲がる。



下りは反対に、ちょっと流れすぎ。




その、岡崎に引っ越した友人を乗せて、ターンパイクでコレをやってやると


ヤツは、びっくりしていた。「こんなにパフォーマンスが高いのか」



2台目は、VTECならそれなりに「カミソリ」だったようだ。




最初のCR-Xをお父さんが買って、大学生になった後

SiRを買ってもらったヤツ(Yと言う。RZV日記に出てくるアイツ。彼は

その後医者になり、インテグラRを買ったりした。)の

となりに乗せてもらった時もそう感じた。


ただ、前が重いので・・・・と言う感じ。



それで・・・・VTECの試乗会に行った時。


試乗しようと思ったら、既に全損・ぐちゃぐちゃのSiRが置いてあったホンダ・ベルノ(笑)



コーナー・アペックスでカムが切り替わる時、感覚のないヤツだと

そのままコース・アウト。だとか。



それにあわせたシャーシにZC,130psだと安全そのもので

なんとなく、マイルド・・・・それはそれで面白いのだけど。



ポール・フレール先生はSiRを3台乗って、そのあとインテグラR(2000のやつ)に乗って

クラッシュ。


だとか聞いた。



その前にSiも乗っていたとのこと。

よくわかる。そういう、元F1ドライバーでも楽しめるくらいのクルマ。だった。




これで、いろんなところを走った。



直線もすっ飛ばして。深夜の国道1号バイパスで180km/hを出して


黄信号で止まれず、止む無く右折レーンに逃げて

そこから、例のコーナーリングで。

あたかもシケインを通過するように抜けた事があった。


その時は「もしかすると死ぬかも」と思った。



右後輪がぎりぎりだったから。流れて。


そりゃそうだ。フルブレーキしたと言っても100km/h以上は出ている。



「靖子もこれでクラッシュしたのかな」なんて思ったが

幸い、僕は生き延びた。





(なんでそんな事をしたか、と今でも思うが

ZCエンジンがいい音で「回せ!回せ!」と叫ぶのだ(笑)。



B16Aはもっといい音だが、僕からすると・・・あの


コーナーリング・マシンのCR-Xから、ちょっと遠くなってしまったな。

そういう感じだった。



そのアトのデルソルは、まあ・・・2シーターだったので。

オープン、はいいと思うけど。空が見えて。



寝れないし。疲れても。



その時は、もう・・・ロータス7複製を持っていたのもあるが。



今も時々思い出す事がある。一台目のCR-Xで飛ばしていた頃のこと。


軽い、小さい。


そういうクルマが好きで。=>ロータス7。



理論的にそうだけど。なんとなく、パカかな(笑)。



(今はスズキ・ラパンに乗っているが、これも「バカ」かなと思う。

でも、持っていると満足するのはCR-Xや、ロータス7と同じくらい。

ラパンちゃん日記に書いてるけど。^^;

軽い、小さいは大好き。5MTだったら最高、なのだけど。

でもCVTでもそこそこ面白いし、「走り」じゃないクルマの楽しさがある)。




実はロータスも、走りで選んだわけじゃなくって。


ああいうデザインのクルマ、素直なカタチ。そういうものに乗りたかっただけ、だった。

出来れば、毎日使えるような・・ものが良かったんだけど。


ちょうど80年代も、そういう素直な形の車が減っていた頃だった。


CR-Xも、異形のヘッドライトだった。テールは素直に長方形だったが。

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Lotus7日記 深町珠 @shoofukamachi

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