直観
水谷一志
第1話 直観
一
私は直観を信じる。
多くの人が左を走っているかもしれない。それなら私は右側を走る。
それが私の生き方。
そんな生き方を、私は貫きたい。
二
昔からそうだった。
私は人と違っていた。
人が興味を持つものに全く興味を持たない。
人が向く方向と反対の方向をついつい向いてしまう。
人は人、私は私。
それで嫌な思いをしたことも多々あったが……、私は意に介さない。
私は私で、他の誰でもない。みんなと同じ人生なんてつまらないし意味がないとさえ思う。
だから自分自身を曲げないことが大事だと、嫌な気持ちになった時は自分に言い聞かせてきた。
そう、辛いことがあった時もそうやって頑張って耐えてきた。
三
それでも嫌なことはたくさんある。
例えばいじめ。私は中学、高校時代、ひどいいじめに遭ってきた。
それはここでは言えないようなことまである。
とにかく思い出したくないこともある。
だから私は環境を変えたかった。
そして、大学に入る時地元を離れることに決めた。
四
新しい環境下。それでも私は嫌な思いをする。
でも……、こんなの昔に比べたらどうってことない。
実際いじめはなくなっているし、まあ無視されることはあったが友達も徐々に増えてきた。
そう、ここは地元の田舎と違って大都会。
いろんな人がいるし、考えの違う人だって多い。
そんな環境が、田舎とは違って当たり前。
……そのことが、私にとってどれほど救いになったことか。
そう、私はこの新天地を心から愛している。
五
そうだ。やっぱり私は直観を信じるタイプ。
空気は読めない、いや読みたくないし自分の意見ははっきり言いたい。
たとえそれが間違っていたとしても、言わなければ成長はない。間違っているかどうかも極端に言って分からない。
それでたとえ私がその場で負けても、次につながる、あと後悔しないのは直観を信じているから。
そして私の新天地では、そんなことが実行しやすい。
六
……でも私は考える。
「私は将来、何になりたいんだろう?」
「どんな仕事をして、どんな自分になりたいのかな?」
せっかくここまで来たんだ。将来はビッグな仕事につきたい、なんて思う。
お金だってできたらたくさん欲しい。やっぱり人間だから欲はある。
ここ、新天地での経験を活かす?
今学んでいることを活かす?
……多分活かせる場面は多々あるだろう。
ただ、もしかすると空気は読まないといけないかもしれない。
そうなったら嫌だな。
でもここに留まったらそんなことないのだろうか?
とにかく、自分なりに考えて、考えて……。そして思ったこと。私は自分らしくいられる仕事がしたい。それが私の現時点での結論。
七
さて。
そう言えばここでは感覚が大きく違うことがある。
……でもとにかく私は直観を信じる。
今までみんな左側を走るのが普通だった……なら、私は右側を走る。
そう、それが私にとっての普通。
ってか今の普通。
さて、私の新しい家までもう少し。
ここではみんな【右側通行】。
私にとっての新天地、【アメリカ】ではそれが普通なのだ。 (終)
直観 水谷一志 @baker_km
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