第4話花しどみ老いしにあらず

(記2021/3/13)

引用句「花しどみ老いしにあらず曇るなり」(橋本多佳子 命終めいじゅう,261)


(読みかた:はなしどみ おいしにあらず くもるなり)


花しどみをぜんぜん知らない泡(あぶく)だし、知らないモノは詠めないけど・調べた範囲で読める。結局、丈の高い草陰に隠れてしまう低木の落葉樹で、晩春時分に紅い花を咲かせる。それで匠さまは泡に何を教えてくださってるのかしら?だから、老いるのではないって?曇るって?生の旅を述べてる句みたい。「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」と詠ったのは林芙美ふみ子。今が盛りの花しどみ‥だったら先は短いよ。だからってそれで好い?仕方ない?当然心は曇るって?そうも読める。


この世界を科学の眼で眺めたら悲しくもなるような。そうすると科学に偏ったまなこで世の中を見てたらツマラナイ。だからそれだと結局詰らない一生を送ることになる。工女・匠さまは花しどみの場所へ往ってトンテンカントンテンカンと叩いたり焼いたりジュッと冷やしたり、そして研いで「宝剣・矛盾の剣」に仕上げてらっしゃる。このように往く先・往く先で宝剣・矛盾丸を鍛えてらっしゃる。見た目は一振り一振り違ってみえる。だけどどれも宝剣矛盾丸として能力が具わっているの。


もちろん、どんな名刀も使う人次第で凶器になるし、人に役立つこともできる。この矛盾丸は使い手を選ぶのね。だから人に凶器を向けたい人が持つときは詰らない凶器に劣化してしまう。それで匠さまがこしらえた矛盾丸はどんな剣なの?人を大切にしたい人が持つとき「老いしにあらず」で、その振るい手は永遠の命を持つ。曇った空は必ず晴れわたり・澄みわたることに定まっている。匠さまは泡を今もこれからも見守ってくださってる。私の無事・健康を祈って見守ってくださってる。


だけど泡が宝剣の剣豪として相応しくならなければ大怪我するか・人を傷つけるか、それは宝剣のせいでなく・泡が自分自身に招いた不幸って‥そんなこと当然ですね。旅は続くのだもの、けっして誰かの不幸を想ったらダメって泡は思っている。

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