私立白百合女学院の特待生

@CookyLask

序章【別れと出会い】


人生何が起こるか分からない。

これは両親の口癖だった。

父さんと母さんは親の反対を押し切り、駆け落ちをして結婚した。

そして、結婚して三年目の四月十日。

俺、三雲健介が生まれた。

両親は俺の誕生をとても喜んだそうだ。

俺が三歳になった頃から、誕生日になると一家揃って旅行に出かけてた。

だけど、俺が六歳の頃、両親は事故で亡くなった。

「いってきまーす♪」

「気をつけてね」

玄関で交わした挨拶が両親との最期の挨拶となった。

葬式の最中、何が起こったのか分からず、両親に話しかけているのを今でも思い出す。

棺が焼かれ、墓に埋葬された時に両親が死んでしまった事を理解し、その日初めて声をあげて泣いた。

墓にすがりつき

「おとうさん...おかあさん...ひとりにしないで!!」

と叫びながら...

「君が...三雲健介君だね?」

泣いている俺の背中から父さんに似ている声が聞こえてきた。

振り返ると、父さんに似た誰かの姿があった。

「おじさんは?」

「私は南條明徳、君のお父さんの弟だよ...君にとっては、叔父に当たるね」

「私は...君を迎えに来たんだよ」

おじさんはそう言って俺に手を差し伸べてきた。

その手をとり、おじさんの家に行くことにした。

大きな車(後にリムジンという事を知る)に乗って数時間、郊外の大きなお屋敷にたどり着き

「着いたよ。此処が我が家だ」

とおじさんは指さした。

大豪邸に入り、大広間に案内される。

「おかえりなさい、明徳さん...この子が?」

「ただいまあかり。そう、健介君だよ」

「はじめまして♪私はあかり、今日からよろしくね♪」

あかりさんは俺に微笑んだ。

「よろしくお願いします...」

「お母さん...この子は?」

あかりさんの後ろから二人の女の子が俺の方を見つめていた。

「この子は今日から二人の弟になる子よ?先ずはご挨拶ね♪」

「はじめまして、夏希です」

長い茶色の髪のハキハキした女の子が夏希ちゃんで

「...美冬...です...」

銀色の髪をリボンでまとめた、人見知りの女の子が美冬ちゃん。

「この子達は君の一つ上のお姉ちゃんよ」

「はじめまして...健介です」

これが俺と南條一家の出会いであり、後の騒動の序章だという事をこの時はまだ知らない。

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