体内時計は平坦な坂の上。
アリハラ
第1講 17年。
今日、俺は17年目の春を迎える。そんな俺からするとこの先人生が終わるその瞬間迄のおよそ80年弱は無限にも感じられる。でも今より前、歩んできた17年の人生の様々な思い出達はまるで昨日の事の様だ。そんな思い出の葉に火をつけて鮮やかな追慕の煙を燻らしていると、あっという間に”その日”から今日にタイムスリップしたように感じる。そうするといつも思う。この先に座している終わり、そこに繋がる無限長を持つこの道程。時間はそれさえもきっと、あっという間に、俺の事を意識も眠る思想の墓場へ拐かしてしまうのではないかと思ってしまう。こうなってしまうともうダメだ。生き物としての俺の体が全身あちらこちらで警鐘を鳴らし、そのカロリーは精神を燃やすことで代用される。これは所謂電撃だ。思い出への後悔とこの先への不安。前後を小刻みに切り替わりながら着実に、確実に、心体を焼き切る。俺の中に無理矢理捻じ込まれた体内時計は、意地悪にもクロノスタシスを繰り返しながら動き続けている。その速さを、誰にも悟られない様に。俺はそれに怯えながら見慣れた天井を仰ぎながら震えるている。
体内時計は平坦な坂の上。 アリハラ @AriHara93
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