侵略!UMA娘
雪車町地蔵@12月10日新刊発売!
話は聞かせてもらった、UMA娘は実在する!!!
その日、すべての人類は馬になった。
突如として宇宙から飛来したUMA娘のウマニナール光波を浴び、
必然的に、人類は車を運転することが出来なくなった。
船も、飛行機も、バイクでさえも運転できない。
文明の利器のほとんども放棄するしかなく、ウマたちは走って暮らすことを強いられた。
だが、UMA娘だけは違った。
「ホースホスホスホス! 愚かなウマたちよ、まだ四つ脚で地面を駆け抜けているウマか!」
彼女はことさらにウマたちを煽った。
なぜなら、UMA娘には脚がなく、空を飛んで移動することが出来たからである。
これは大変なアドだ。じつに丸い。
大空に舞い上がるのは、人類の夢だ。
これを奪われては、生きていけない。火を見るよりも明らかだった。
……ウマになったので火は怖かったが。
「ホースホスホスホス! 私に
事実上の植民地宣言であった。
これに、各国首脳はおおいに揺れた。
すでに統治機構は崩壊していたが、権力はキープしたいのでリーダーを気取っていたからだ。
その割に役に立たないので、民草からの評価は腐った干し草よりも低かった。
困った、困ったと。
頭を抱えようにも、ウマなので前脚が上がらない。
困惑を続けている間に、UMA娘が唱えた選民思想はすべてのウマたちに周知され、社会問題にまで発展。
ついには、自らの脚を切り落とすことで忠誠を誓おうとするものまで現れた。
義憤に駆られた有識者たちは、調査隊を結成した。
UMA娘特殊対策室の結成である。
UMA娘特殊対策室の面々は、命がけでUMA娘に取り入り、接近し、なんとかスキャンダルを掴もうとした。
あわよくば自分たちだけが助かるための、ゆすりのネタにするためである。
こびへつらい、魂を売り、好物のにんじんまで譲り渡して行われた彼らの、その必死のパパラッチ活動の結果、ある真実が判明した。
なんとしてでも、これを白日の下にさらさなければならない。
へこへこと平身低頭しながら、UMA娘特殊対策室のメンバーは使命感を燃やし、アヴェンジの機会を虎視眈々とうかがった。
そして、とうとうその日がやってきた。
UMA娘はいつもどおり出待ちの信者たちを、軽やかに空を飛んでかわし、地球の観光を行おうとしていた。
だが、突如彼女の背後に飛び出した対策室のメンバーたちが、フラッシュを
「し、しまったウマ!? UMAは背後に立たれたら思わず蹴ってしまうウマ!」
「ふん、馬脚を現したな」
宙を舞いながら、対策室室長は会心の笑みを浮かべた。
なぜなら、彼の顔にはU字型の蹄の跡がしっかりと残っていたからだ。
そう、UMA娘には脚がないのではなく、体内に収納されていただけだったのだ。
彼女は四肢を引っ込め、ジャット噴射で空を飛んでいたに過ぎなかった。
とんだペテンだったのである。
「こ、こうなれば仕方がないウマ。さらばウマ~!」
かくして、UMA娘は地球を去り、地には平和が戻った。
ウマたちは今日も草原を駆け抜け、平和に暮らしている。
あたりまえだが人類は滅亡した。
侵略!UMA娘 雪車町地蔵@12月10日新刊発売! @aoi-ringo
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