第3話

サービス開始まで今しばらくお待ちください。


この画面を見続けて了解ボタンを何度連打したことだろう。

連打に連打を続けていかに始まった瞬間にゲームを開始するかという

チャレンジなのである。

これは真のゲーマーならよくやるチャレンジであるだろう。


ようこそ!ここは夢と冒険にあふれた世界。

貴方がた冒険者様をお持ちしておりました。

始めにこの世界でのルールについて説明をしたいと思います。


この世界は完全VRMMOのオープンワールドゲームです。

世界のどこに行くにもロードもなく快適に異世界ライフを満喫できます。

町の外やダンジョンに入るとモンスターが出てくる場合があります。

このゲームで死亡した場合は、一定時間リスポーンすることが出来ません。

リスポーンペナルティが発生します。身の程にあった冒険をしてください。

また、PvEだけではなくPvPもこの世界では可能です。

プレイヤーをキルした場合、持ち物を奪うことはできませんがこの世界での

通貨であるガルを奪うことが出来ます。

PvPをする場合は決闘システムがありますのでそちらをご利用ください。

決闘システム外でPvPをすることも可能ですが、一定時間犯罪者として

指名手配されることになります。

街中での武器の使用も禁止されていますが、可能です。

それもまた犯罪として認識されます。NPCを殺害することも可能です。

その場合も一定時間犯罪者として指名手配されます。

指名手配の時間設定につきましてはホームページまたはメニューから

確認することが出来ます。

指名手配中に捕まると監禁されることになり、一定時間は自由にプレイを

することが出来なくなります。ご了承ください。

モラルと常識を持ったプレイを心掛けてください。

しかしながらこの世界では基本的にNGは存在しません。

皆さんの理想の第二の人生を歩んでいってください。


ロードが完了しました。ゲームを始めますか?


愚問である。そんな完全自由な異世界ライフにあこがれてこの世界に来たのだ。

俺はこの世界で勝ち組になる!そしてついでに現実の世界でも勝ち組になるのだ。


ゲーム開始を押した俺だったが、驚いた。

このゲームではランダムに世界のどこかの町で生まれることになるのだが、

美しすぎるこの風景。本当にゲームの中に入っているというか

俺自身がこの世界の住人でこっちの世界が本当の世界なんじゃないかと

錯覚できるほどに違和感のない綺麗な世界だった。


とりあえずこの世界に降り立ったら初めにするべき

ことがあるのだ。それはギルドで冒険者登録をしなければならない。

つまり、世界観にひたっている場合では無いのだ。

ここまで綺麗だと色んな綺麗な写真を撮ってそれを

SNSなりなんなりにあげたりするのも楽しそうだ。

でも俺は勝ち組になるためにも一刻も早く

仕事を手に入れなければならない。


ギルドはどこなのだろうか、如何せんマップが広い。

さすがはオープンワールドと言ったところだ。

このゲーム自体の趣旨が完全自由に重点を置いている

からこそ、あまり説明はないのだ。

とりあえず看板やらなんやらを見ながらギルドの場所

を探していたが、ついには完全に迷子になった。

ここがどこなのか初めの場所すらも分からない。

普段外に出ないせいで方向感覚が壊滅的だったのだ。

本来ゲームなのではマップを開けばどこにいるのか

どこに行けばいいのかが一目瞭然だが、

この世界ではそんなものは無い。

これはまずい。とてつもなく時間を無駄にしている。


「もしかしてなんですけどギルド探してます?」


素晴らしく可愛い声が聞こえてきた。

振り返るとそこには可憐な少女が立っていた。

正直に言ってこれがNPCなのかプレイヤーなのかは

全く分からないが、可愛すぎてどもりそうだ。


「そうなんです。迷ってしまって…」


そうこれがギャップ萌えクール男子の解答例だろう。

まるで迷ってないかのように見せて迷っている。

この現象が可愛いのだそうだ。きっとモテるはずだ。


「私もギルド探してて、良かったら一緒に探しませんか?」


ほら見たまえ、全国の非モテ共よ。

これはつまりデートに誘われたということだ。

ついに私はモテを手に入れたのだ。

しかし、とても小さいというかよく見ると子供だ。

こんなこと歩いていたらロリコンに間違われそうだが

構わない。なぜなら可愛いは正義だからだ。


「僕も1人で不安だったんだ。一緒に探そうか」


不安という弱い要素を見せつけることでイチコロだ。

これで全て上手くいくとどっかのブサイクが言ってたな。


そんなこんなで俺は小さな女の子とギルドを探す

冒険を始めることになったのだ。

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ニートの俺がVRMMOで人生勝ち組を目指す! ダイス @Ruru_sh_l

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