異世界転移した友人にお家時間の楽しみ方を聞いてみた

洋紅色

異世界転移した友人にお家時間の楽しみ方を聞いてみた

「……というわけで一人で楽しめるお家時間の楽しみ方って何かない?」


私は自宅の鏡に向かってそう問いかける。

傍から見ると今の私は頭のヤバいやつでしかないけれど、鏡に映っているのは自分ではなく別の人物だ。


「なんか私がいない間に地球は結構な環境になってたのね」


鏡からは幼馴染みの平坂夜見から返答が来る

普通の人からすると、世界的な問題に対してこの反応はあり得ないと感じてしまうが、夜見の立場からすれば知る機会が無かったので仕方がない。


夜見は2年前に俗に言う異世界転移に遭遇してしまった。

なぜか月が満ちている時に鏡を介してやりとりができるのだが、理由は分かっていない。


「一人で家に引きこもって楽しむならやっぱり、アニメや読書じゃない? サブスクリプションっていうのがあったから安く済むでしょ?」

「いや、見まくって飽きた」

「……じゃあ、どういうのがいいの?」

「いやぁ、異世界で2年間引き籠っているプロはどう楽しんでいるのか聞きたくてね」


転移したての頃は常識が分からず、異世界住人からしたら訳の分からない事を言ってるように現地住人に取られ、魔女扱いされた為人気のない所にひっそりと住んでいるらしい。


生活環境が違えば斬新な楽しみ方があるのではないのかと思い聞いてみる。


「参考になるか分からないけれど、新しい魔術を考える事かしら」

「夜見も地球じゃ魔術使えなかったよね!?」

「私が教えたら地球でも上手くいくかも?」

「いや、転移して独学でなんとかなったんだから、環境要因が大きいだろ!」


そりゃ、実際に使えるようになったら楽しくてお家時間充実しまくりだろうけど。

できる事とできない事は分けないといけない。


「そんなこと言われても、転移してこっちでしてる事なんてそんなのばかりだけど…… そっちと違ってネットとかないんだから家の中でできる事なんて限られるの」

「確かにネットというのは一人で楽しむのに最高だと思うけれど、あれって主体的に何かをしようと思ってないと何もできないし」


ネットサーフィンという形でダラダラさまよう方法もあるけれど、アニメや読書と同じ形になるので気が向かない。


「逆に言うと目的があれば、おうち時間でネットも充実できるのよね?」

「まあ、そうだけど……」

「それじゃあ、異世界転移の仕方を調べたら?」


異世界に馴染みすぎたせいか、夜見がとち狂ったこと言い始めた。


「岬の話を聞いてるとさ色々大変な環境だから、今まで調べていた地球への帰還方法打ち切ろうかなって思ったの。 それにそっちだっておうち時間で悩んでるし、旅行も満足に行けてないなら、いっそ岬がこっちに来た方がお互い楽しくなるんじゃないかなっと思って」


この状況が収まらないなら、何気に一理ある気がする……


「そうはいっても、異世界転移なんてどうすればいいのか指針があるわけじゃないだろ? 夜見だってどうして異世界転移したのか分かってないんだし」

「いや、正しいか分からないけれども参考資料はそっちにたくさんあるでしょ」

「そんなの知らないけど」

「WEB小説にそういうネタはたくさんあるじゃない。 取り合えず全ての手法を試してみればこっちにこれるんじゃない?」


当たりが一つはあるというような口ぶりで夜見は紡ぐ。

何度か否定の言葉を言ってみても、潰される。

夜見がこっちにいた頃から口で勝てた覚えなかったので当然の結果だ。




異世界転移した友人におうち時間の楽しみ方のを聞くと、自分が異世界転移する為の方法を調査して試すことになりました。


転移先って選べるものだっけ……?

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