コネクトスター・ディメンションウォー ~異世界VS星間連合~【イメージ投稿】

照屋

プロローグ

2500年。人類は、異なる二つの人類と遭遇した。







地球という星の支配者だった種族———霊長を自称する種族である人間は、2500年を境に、異なる世界の『霊長』と遭遇することになった。


一つ目の人類。それは星の寿命によって自らの星を追われた人類。その名を『エクスシアン』


二つ目の人類。それは人と人との争いに負けて自らの星を追われた人類。その名を『ガウルグラス』


一つ目の異星人類であるエクスシアンは、未来さえをも読むとされている『数秘術』で、霊長の座を欲しいままにし、その恩恵を余すことなく広めた結果、星が耐えられなくなりそして死んだ。


二つ目の異星人類であるガウルグラスは、星の大地を活かし、鉱石からあらゆる恩恵を貪り、その結果として星が死んだ。


そしてそれらが地球人類と出会ったのだ。







あれから5年がたった。


三つの霊長はお互いを尊重し合い、共に地球という星を母なる星として新たなる世界を築こうとしている。そして霊長が混ざり合い生まれた技術という名の大いなる力は、世界を瞬く間に変えていくには十分すぎる程の力だった。


エクスシアンの数秘術は、新たな世界の観測・新たな次元の測定などが行え、それらは地球の未来をも占えるような、まさに地球人類にとっての魔法のような存在だった。


ガウルグラスの科学技術は、地球の科学技術を大きく凌駕しているものだった。ガウルグラスの母星の鉱石の再現から始まり、今まで耐えられない温度や耐久性を持つ素材から、地球人類以上の技術によって今まであった地球の様々な技術が更新され、物流などのインフラから重化学工業まで、ガウルグラスの技術が活かされていった。


中でも最も発展したのは、エクスシアンとガウルグラス双方の技術がミックス出来た通信技術。それらは人と人の繋がりだけでなく、地球人類と異星人類の繋がりさえも強固にした。


そして、それらの技術が大衆へといきわたり、世界は星間人類連合として生まれ変わるのだと誰もが確信してから、10年がたった。







星間連合人類として生まれ変わってから10年。世界は発展を続けたが、同時に困窮していた。


地球人類ですら地球の資源は残り少ないと喘いでいる中、そこに二つの異種族が舞い降り、地球以上の技術力で地球人類のあらゆる技術水準を大幅に押し上げた。結果として地球人類は歓喜と共に新たな同胞を受け入れたが、同時に資源の消費は加速した。


“このままでは、地球は死の星になるまでそう時間はかからない。“


世界中の科学者が世界に提言し、また三年前にはエクスシアンやガウルグラスからもそのような声が囁きを大きくしていた。そして三つの霊長はまたしても、星の死の間際で喘ぐ状況となってしまったのだ。


そして星の死を食い止めるべく悪戦苦闘の日々が始まると思われていたその矢先、それらを解決する革新的手段を実現できると、エクスシアンからの一言が星間人類連合を大きく震わせた。




“我々には、異なる次元を観測する手段がある。そして、そこには我々と同じ星が広がっていることだろう。そこから資源を回収すればいいのではないか”

“我々エクスシアンは、観測するのみで、そこへと向かう手段を用意できなかったが、今はガウルグラスがいる。ガウルグラスの化学力を以てして、次元を行き来できるシステムを開発できる技術力があるとこの15年間で十分理解した。”

“それは我々星を持たぬ種族には到底不可能。星を持つ地球人類に協力を求めると共に、この問題を解決できるのでないか”


その一言により、星間人類連合は『異世界航行装置』を作成するべく、力を結集する事になる。


これが新たなる時代。2500年から15年間を星間連合時代とするならば、ここから先は異世界航行時代になるのだと、誰もがそう思っていた—————。







「……やっぱり、そうなるのか…」


『異世界航行装置』の作成に全力を注ぐ。という星間人類連合の発表のニュースを見ていた青年は、おもむろにテレビの電源を消す。そして一言呟く。


「転送」


そう言い残すと、僅かな光を辺りに散らして姿を消した。







青年がゆっくりと目を開けると、眼前にはまるで王と成った者が座る椅子を中央に、その両端には片膝を付き頭を垂れる臣下のような者が寸分の狂いなく佇んでいた。


その者たちに見向きもせず、ただひたすらに王の椅子へと向かって歩を進める。その青年には、テレビを崩した格好見ていたあの青年とは違う、見たことのない王者の威厳が備わっていた。


「皆、ご苦労」

「「「「「「「っは!!!!!!」」」」」」」


一斉の声は確かに王の帰還を称える声。この青年は正しく王なのだ。


「皆に伝えなければならないことが出来た———攻めてくるぞ。奴らが」


王の言葉を粛々と聞く臣下。だが確かにそこには、ただ事ではない事態に陥っている事が容易に想像できるだろう。


「奴らは必ず次元を超えてこの世界へとやってくる。奴らはこの世界を資源としか見てないだろう———森・大地は貪り食われ、人は奴らの道具にされる。奴らは『人間』。エルフやドワーフなどの種族は実験と称し、“資源”として使われるだろう……」


「俺は奴らに、この世界の何一つ触れさせない。この世界の物はこの世界の者に。異世界の住人に何一つ渡すものなどないのだ。」


「よって、これから奴らが攻めてくるまで、最大限の準備を始める。俺を含める12皇徒は、現時点を以て今までの任を解く。引継ぎを済ませておけ。奴らが攻めてくるまで、最大限の準備を進める」


「「「「「「「はっ!!!!!」」」」」」」


「アルゴ!次元観測用魔術の構築はどれだけ終わっている!!」


「はっ。アルノドア大陸・ドラゴノア大陸・魔大陸・エレメントには観測用魔術を等間隔で設置完了しております。後は弟子に起動と観測用ネットワークの構築を行わせれば使えるようになります」

「今すぐ起動準備を行え」

「了解しました」


アルゴ。それは人族でありながら若くして賢者の研究を引き継ぎ、時間と空間を司る魔術を体現した稀代の天才。


「ヴァンヘム・エターナ。両種族の説得は順調か?」

「おうよ!!俺ら竜人族はアンタに恩を返せると張り切ってる所だぜ!」

「うん……父さん……協力…するって…」


ヴァンヘム。それは竜人という種でありながら竜人には決して成し得ない理を超えた力を持つ。異端の竜人。


エターナ。それは精霊という世界の根幹を司る種であり、同時に欠陥の力を持つ精霊。


「如月。そっちはどうだ?」

「はい。こちらも順調に協力に持ち込めるよう準備を進めております。結果を報告できるのは一週間後かと」


如月。それは最強を求めすぎた男が、最強を知り、また自分も最強へと続く一閃を持つ男。


「パンドラ。そっちはどうだ?」

「ええ、こっちもなんとかって感じね。お父様も説得に回ってくれたわ」


パンドラ。それは数々の伝説と共に語られ、人々に畏怖を残した『魔王』の娘。魔王以上の潜在能力を誇り、数々の魔術を一流以上に放てる最強に近しい魔術師。


「グラン。頼んでいた兵器・武器の量産は?」

「問題あり、今のペースだと間に合わない。ドゥルグからの混成部隊への供給が滞る」

「了解した。何が必要だ?」

「特殊金属。生産用ゴーレムを増産する。それで解決できる」

「12皇徒専用武具の製造にも影響が出なくなると?」

「うん」


グラン。それは数々の武具を作ることを得意とし、土や火の自然と調和できるドワーフ族の娘。その鍛造技術もさることながら、青年が与えた知識を吸収し続け、この世界で唯一彼女しか作れない物が存在するオンリーワンの存在。


「了解、特殊金属を調達しておく。ドゥルグ!ファイナ!」

「はぁ~い」「只今」

「ファイナにはエルフの力を解放してもらい素材を調達してくれ、ドゥルグは混成部隊を使って調達の手伝いを行え、最も自然を壊さない程度で頼むが、ファイナの指示には別途従ってくれ」

「はぁ~い。ですけどぉ~。私、魔物部隊苦手なんですよねぇ~…」

「む?…申し訳ない。それは私ではどうにもできない。主の命令であるが故」

「いえいえードゥルグ~。私は貴方は嫌いではないのですけど~。まあこれも、エルフ族としての特性みたいなものですから~。まあ強いて言うならー、主を少しからかいたいだけですよ~」

「む?主の側近たるファイナ殿が、主を貶すなどあってはならないことだと思うが?」

「ははは。いいんだドゥルグ。ファイナも生真面目なドゥルグの前ではお遊びも許されないらしい」

「あ、あははは~。そうでしたね~。ドゥルグは~冗談が~通用しないから~」

「まあいい。お前たち頼んだ。特に戦いになれば、武器は必要不可欠。生命線ともなりえる重要な任務の一つだ。頼んだぞ」

「はっ!!」「…了解したわ」


ファイナ。それは自然と調和するエルフ族の末裔。自然と会話し、自然の力を引き出すことに関しては随一を誇る。エルフの中でも数少ない『エンシェント』の力を持つ者。


ドゥルグ。それはただのオーガだったドゥルグが、人間を喰らい突然変異を起こした姿。だがそこから主である青年のために努力を繰り返し、主の望みをかなえるべく自らの体を突然変異し続けてきた意志の化け物。


「あとは…ウォルズ」

「へいへい。なんだよ主様」

「——何もしなくていい。ただ、お前の力は戦場でこそ輝く力だ。期待している」

「————やっぱいいなぁ。あんたは」


ウォルグ。それは倫理の通用しない狂気を持つ魔族。ある日ふとした瞬間に、したくなったからというただそれだけの理由で人族の街をその召喚魔術を使い軍隊を創造し、街を荒地に変えた。ある日あるときそこにあったからという理由で、同胞の魔族の街を灰に変えた。行動原理も倫理もそこには一切存在しない。街一つを潰せる化け物。それがウォルグ。


「フールヴァルゴ。スペルティーナ」

「へへへ。なんだぁ?俺らを一度に呼ぶのはやめろと言っているだろう?相棒」

「なんですか?君」

「ああ、そろそろ戦争が始まりそうだ。お前らの力も借りることになるだろうと思ってな」

「ケケケケ、そりゃあまあ。ってことはあれか?ウォルズの力も使おうとしてんのか?」

「ああ。」

「カッカッカッカ!!こりゃあいいっ!!そりゃあガチの戦争をやろうって事じゃあねえか。ハッハッハッハ!!!」

「————心得ました、君。私は何をすればいいのです?」

「スペルディーナは味方の治癒や回復を頼む…フールヴァルゴは切り札だ。お前は味方を全員引いた状態で一人で放り込ませてやる」

「カーーーーッハッハッハ!!いいぞ!俺ぁそれがいい!だが覚えておけよ…。お前が俺を放った瞬間、敵さんは跡形もなく消え去るぜぇ…?」

「ああ、構わないとも。今から攻めてくるやつらに容赦はかけない。もう決めている」

「…そうかぁ。なら、俺は楽しみにしておくぜぇ…」

「君が、私の力を必要とあらば、その時は参ります」

「ああ、頼む」


スペルディーナ。それはこの世界と関わるもう一つの世界『天界』から舞い降りた天使。人を癒す奇跡を行使することが出来る。この星の原理を超えた存在。


フールヴァルゴ。それはこの世界と関わるもう一つの世界『悪魔界』から這い出た悪魔。人の心につけこみ人を壊し続ける悪魔。この悪魔には人の命は玩具でしかなく、悲鳴は楽器。人を壊すことを生とし、ただひたすらに災厄を振りまくこの星の原理を超えた存在なのだ。


こうして青年は数々の臣下に指示を出す。この青年こそこの異世界の最高権力者。この異世界と今や星間連合が根城とする母なる星『地球』でその生を受け、なんの因果なのかこの異世界に放り込まれた。只の地球産の青年だったはずなのだ。それが数々の苦難を乗り越え、身に付いたのは力。あらゆる者を引き付け、あらゆる者を巻き込み、そしてあらゆる者の願いをかなえられるまでに成長した力を身に付けた青年。それがこの異世界の最高権力者なのだ。


この世界を数多を渡り歩き、様々な種と交流を深め、その人柄に誰もが思いを載せる。今彼がいるのは、彼が王として成る為に臣下が用意した王城。

名を『天王城ラルクアンシエル』

技術の粋を使い天空に大地を形成し、その上で我が主の権威を示すべく臣下が創り上げた城こそがこの青年の家であり、帰るべき場所だ。


そして彼らは、この天空城での一幕を経て、戦争の準備を進めていくことだろう。大いなる侵略者に、その愚かさを知らしめるために。




そして世界は、星間連合VS異世界という。世界の覇権をかけた争いへとそのコマを進めていた。


これを後の人々はこう語った。


悪夢の次元世界間戦争:ディメンションゲート世界戦争と。

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コネクトスター・ディメンションウォー ~異世界VS星間連合~【イメージ投稿】 照屋 @teruya1001

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