第6話 完食
一枚のロースを食べた男は少し後悔をしていた。
白飯がないことに。そうごはんがあればもっと味を楽しめたのではないかと。
ロースを食べるのを一時中断し、ご飯のおかわりを店員に要求する。
ごはんが来ると再びロースを炭火の網に焼いていく。
一枚、二枚、三枚と次々にご飯を食べ進めていく。
男が気がつくとそこには空っぽのお碗と少し肉のタレが残ったお皿だけだった。
何ヶ月、何年ぶりだろういや生まれてきて初めてかもしれない。
食に『幸せ』を感じたのは。
完食した今、感謝をしたい。
焼肉屋の店員、店主、農家、牛。
ありがとう。
焼肉に恋をした男 K @k05
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