夫を亡くして、一人暮らしをすることになった女性の一人語り。その口調は穏やかで、余計に夫がいないことへの寂しさを増していく。夫が亡くなった日から、主人公の女性は暦に×を付けて日を数えていた。途中で×よりも〇を付ければよかったと思いながらも、習慣づいたことは止められないのだ。
主人公の女性が語る夫とのエピソードが、一つ一つ輝いていて、そして仲睦まじく、本当にお互いにいい夫婦だったのだと感じられる。
そして、最後は心温まる展開に――。
優しい空気感に包まれて、拝読していると陽だまりの中で一組の夫婦の映像を見ているかのようでした。
このような雰囲気はこの作者様だからこそ出せるものだと思います。
是非、御一読下さい。