第44話 紹介そして

    年始の学校が始まったあとの最初の休みを迎えた。


園田一花「ここよね。あ、いた。待ちました?」


岡本晃司「やあきたか、そんなにまってないよ」


一花「色々とお話ししたいですよ、晃司さん」


晃司「俺もやけど、ここはちょっと学校に近すぎるから

   場所を変えよう。」


一花「はい」


    晃司と一花は市内の学校から離れた茶店に行った。


晃司「ここらへんやったら誰もこんやろ」


一花「そうですね、連休はどうでした?」


晃司「爺ちゃんと将棋さしながら話もしたよ。もう80過ぎやけどね」


一花「あの小っちゃかった子が、もうそんなになるんですね」


晃司「ひい爺ちゃんは戦争が終わってから教育の道に進んでるしね」


一花「ああ史実は変わってないんですもんね。教育者かあ」


晃司「一花は正月どうやった?」


一花「高校の時の友人たちと九州行ってきました。

   鹿児島の知覧特攻平和会館では泣いてしまいましたよ」


晃司「特攻平和会館かあ、知ってるかもしれんけど爺ちゃんが

   昔、言ってたけど、特攻なんて青年将校が片道燃料で麻薬うって

   飛んで行ったんよ」


一花「そうなんですか?麻薬はしらなかったですよ」


晃司「正気の沙汰で特攻なんかできんやろからね。

   一億総動員なんかとんでもない話やけどね。

   アメリカは日本の民族滅ぶまでとことんさせる

   つもりやったんかな」


一花「アメリカ側は今でも原爆投下は戦争終結のために必要だったとの

   主張をしていますが、晃司さんのお話しを聞いてからそれなら

   広島に投下した後、たった3日後に長崎と2発も落とすのは

   理屈に合わないなと思いますよ」


晃司「そうなるね。やっぱルーズベルトであろうがトルーマンやろうが、

   天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさずとはよう言うた

   もんやね」


一花「でも違う世界とは言え、晃司さんは原爆も特攻も阻止したんだな

   って思ったら、ほんと私にはもったいない人だなって思っちゃい

   ますよ」


晃司「俺なんてまったくもって大した人間じゃないんやから、君のほうこそ

   俺なんかではもったいないくらいよ」


一花「とんでもないですよ、私にとっては晃司さんはヒーローなんですから」


晃司「まあ、にしてもまったくこんな近くにこんないい子がおったとは

   思わんかったよ。俺ら違う世界で出会ったんやもんね」


一花「出会いかあ、同じ防大ですもんね。あ、そういえばそれで思い

   出したんですが、名前は言ってないですが私に彼氏が出来た

   ことを、同期のルームメイトに言ったら、自分にもいい相手

   いないかなって言ってたんで、晃司さんにそのこと相談して

   見るって私言ったんですよね。どなたかよさそうな方いない

   でしょうか」


晃司「ああ、俺もまったく名前も学年も行ってないけどルームメイト

   に一花のこと話したよ。そいつもいい子いないかって言ってた

   から、どうかな、お互い信用のおける人間なら、その二人を

   紹介してみん?」


一花「そうなんですか?それいいですね。晃司さんのルームメイトって

   どんな人なんですか?」


晃司「同じ4年よ。うーん、俺ほど色んなことに好き嫌いなくて、

   結構まじめかな。誠実って言えば誠実なやつかも。

   んで、俺と違ってきちっと、最初から自衛官になるつもりやった

   やつで、成績は全体的には俺よりずっと上で防大では上の中て

   とこかな」


一花「すごいですね。私のルームメイトも同じ3年で、ちょっと要領が

   いい所はありますけど、基本的にまじめで努力家です。

   防大では成績は中の上ってくらいですね」


晃司「そっか、一花の提案やし信用のおける子みたいやね。

   俺のルームメイトも信用はおけるやつやから紹介してみようか」


一花「それなら二人を会わせてみましょう。いつがいいでしょうか?」


晃司「じゃあ早速来週の休みにでもどうかな。お互い予定なければ

   俺ら校内でもちょっとだけ二人の予定の確認だけとろうか」


一花「はい、来週の休みですね、聞いておきます」


晃司「俺もそいつにきいとくよ。ただし、俺らの出会った経緯や日時、

   それに例の体験した事なんかは内緒ね。

   で来週会う場所はこの店にしよう。


一花「そうですね、例の事は内緒にした方がよさそうですもんね。

   来週この店ですね、わかりました」


晃司「じゃあここは俺が出しとくね」


一花「あ、ごちそう様です」


    晃司と一花は市内を回り食事もしたりしながら

    楽しい一日を過ごし寮に帰ってきた。


防衛大学校女子寮


一花「胡桃、来週の休み空いてる?」


井上胡桃「特に予定はないけどどうしたの?」


一花「胡桃言ってたでしょ、いい人いないかなって。

   私の彼に聞いたらルームメイトで4年の人でめぼしい人がいるって。

   どうする?行く?」


胡桃「行く行くー。行きますー。ありがとうございますー、一花様ー。

   で、どんな人って?」


一花「もう、ほんとに調子いいんだから。誠実な人だって言ってたよ。

   信用できるって」


胡桃「やったー。で、イケメン?」


一花「そんなこときけないよ」


胡桃「まそれはいっか。一花の彼氏が信用できるって言うんだからいいね」


一花「じゃ来週の休みね、段取り確認しとくよ」


防衛大学校男子寮


晃司「忠和、お前来週の休み空いてるか?」


渋野忠和「殊更予定入れてないから空いてるぞ、どうした?」


晃司「お前彼女欲しい言うてたやん。俺の彼女にルームメイトで相手探してる

   子がおるらしいわ、お前と会わそかって言うててん」


忠和「ほんとか?早速紹介してくれるのか?来週の休みだなOKだ。

   会ってみよう。で何年の子か教えてくれないのかまだ?」


晃司「しゃあないなあ、もう言うとこ、3年の子や、結構まじめらしいで」


忠和「そうか、いい子だったらいいな」


晃司「ほな来週の休みな、こっちで確認しとくで」


    そして次の休みの朝、約束の茶店。


一花「あ、来た来た。晃司さん」


晃司「おまたせ、連れてきたよ」


一花「こっちも来ています」


晃司「こいつなんやけど、お相手さんは?」


一花「初めまして、園田一花と言います。晃司さんとお付き合いさせて

   頂いています。こちらに私のルームメイトがいますのでどうぞ」


忠和「始めまして、渋野忠和と言います。晃司とはルームメイトです」


晃司「一花、じゃあ案内して」


一花「はい。こちらです渋野さん。胡桃、この人よ胡桃の紹介された

   相手の方」


胡桃「・・お、結構イケメン・・」


忠和「初めまして、渋野忠和と言います。防大4年です」


胡桃「こちらこそ初めまして、井上胡桃と申します。防大3年です」


忠和「お互いルームメイト同士が付き合ってるんですってね」


胡桃「らしいですね、ほんとルームメイトの園田一花から彼氏がいるって

   聞いたのは最近で、びっくりしましたよ」


忠和「こっちも、僕のルームメイトの岡本晃司からもいきなりでしたよ」


胡桃「どういうことなんでしょうかね。あ、渋野さんのほうが先輩なので

   敬語なんて使わないでいいですよ」


忠和「そう?じゃあそうさせてもらうね。防大男子多いし見た感じ

   井上さんが彼氏いないなんて不思議だね」


胡桃「お上手ですね。でも渋野さんのようなかっこいい人に褒められると

   嬉しいですよ本当に」


晃司「話はずんでるようやなあ、おじゃまかな?あ、申し遅れました、

   園田一花さんとお付き合いさせてもらってます岡本晃司です」


胡桃「初めまして井上胡桃と言います。一花とはルームメイトです。

   宜しくお願いします、岡本さん。

   ・・本当だ、この人もイケメンだ・・」


晃司「お互いいい感じのようやから俺らはこの辺で行くよ」


忠和「おい晃司、いきなり二人っきりにするのかよ」


晃司「話はずんでそうやん問題ないやろ、俺らは行くわ。

   ええよね、一花」


一花「はい、大丈夫そうですね。よかったね胡桃、渋野さんいい人そうで」


胡桃「そうね。一花、感謝するわよ。今度なんかおごってあげる」


晃司「ほんじゃお二人さん、後はごゆっくり。行こ、一花」


一花「はい、晃司さん」


    晃司と一花は店を出てこの前の様に市内を回って時間が経った。


一花「今日も楽しかったです、晃司さん」


晃司「うん、俺も楽しかったよ。今度一緒に東京行こっか」


一花「いいですね。ディズニーランドとか、あとそれなら大阪のUSJも一緒に

   行きたいです」


晃司「うん、いいねえ。今度大型連休あったら全国著名なとこいってみよう」


一花「はい、楽しみですよ。それにしてもあの二人どうなってるかなあ。

   うまい事行ってるといいですけどね」


晃司「大丈夫やろ、なんかええ感じやったし、寮帰ったら聞いてみよお互い」


一花「そうですね、心配いらないですよね。

   それにしても今の時期、暗くなるの早いですね」


晃司「この先に夜景や星が綺麗な所があるから、行こ」


一花「はい」


    晃司と一花は市内で知られるデートスポットに立ち寄った。


一花「そういえば、あの時代の人たちはどうしてるんでしょうね」


晃司「アメリカは中立になったし、それに伴って日本も事実上平和に

   なってると思うよ。世界に関しても戦乱はヨーロッパだけに

   なるやろし、最後は独ソ戦争にまで縮小してかたがつくん

   違うかな」


一花「アメリカが世界大戦にまでした責任者ってことですね」


晃司「厳密に言うとルーズベルトやね。彼が急死してフーヴァー

   元大統領が再び台頭して権力を握りなおしたことによって、

   あの世界はガラッと変わったしね」


一花「ルーズベルトの急死が史実通りの時期だったら、和平はできてたんで

   しょうか」


晃司「うーん、フーヴァー元大統領次第の要素も大きいかな。

   まああの世界はあの世界の人らに任せよ」


一花「そうですね。私たちはこの元の世界で生きていかなければなりません

   もんね」


晃司「うん。現状を言うと自衛隊になくて在日米軍にあるものによって日本は

   侵略されない。

   そのものというのは核兵器よね。

   例えば在日米軍駐留費をもっと上げろとか日本のコメの関税を全て

   撤廃しろさもなければ在日米軍を全て引き上げるぞなどと恫喝を加えて

   くること等を考えると今の日本はアメリカの属国よね。

   だから、あくまで可能性の問題やけど、俺らがまだ任官している間に

   憲法九条なんかが改正されて、国防軍になってるかもしれんしね」


一花「今中国が本当に脅威ですしね。でも私たちがいる間に、そうなる

   ことがあるんでしょうか」


晃司「今アジアにおいて、民主主義国と共産主義国の境界はの一つは

   朝鮮半島やんね」


一花「ええ、少なくとも形式上まだ朝鮮戦争は続いていて、その境界線

   がそうですよね」


晃司「以前も言ったと思うけど、もし南北が統一までいかなくても連邦政府

   なりが出来て機能すると、その防衛ラインは対馬沖になってその政府が

   核武装する事が大いに考えられるよね、そうなると今ほど在韓米軍

   が残る必要無くなるよね。在韓米軍が引き上げるとどうなるかな?」


一花「そうなると、この日本がその最前線になるわけですし、少なくとも

   専守防衛では危険かもしれないですね」


晃司「もしそれで在日米軍が引き上げていくようなことになると?」


一花「日本も独自に軍隊をもって核武装して独自で隣国等を抑止しないと

   いけなくなるということですか?」


晃司「少なくとも形式上は国連が出動するけど本来自国の防衛は自国でやる、

   それが本来の一個の国のあるべき姿やと思うよ。

   特に日本の場合は隣国等が不法集団と同一の国やからね」


一花「晃司さん、今、軍隊が無いことと、非核三原則の危険性について

   改めてわかった気がします」


晃司「再認識してくれたようやね、一花とは散々議論したけど、今の

   日本国憲法が正しいとは言えんからね。

   それに内閣決議の非核三原則。

   在日米軍がいるからその核の傘下による抑止力によって、他国は

   攻めてこんのやからね」


一花「ほんと、この日本も独自に軍隊をもって核武装しないと日本民族

   そろって、滅んでしまう可能性ありますね。

   少なくとも遠くないうち侵略されてしまう可能性が十分ありますね」


晃司「そのためにも俺は自衛隊に入って、前もってそれにも備えるよ」


一花「晃司さん、先に自衛官になって下さい。一年後私も晃司さんを

   追いかけます」

   

晃司「うん。一花、君と出会えてよかったよ。この国の人たちが最愛の人を

   失わんように、任官するよ」


一花「私もです晃司さん。あなたと出会えてよかったです。最愛の人のために、

   これから私も生きていきます。愛してます、晃司さん」


晃司「俺も、愛してるよ、一花」


    ・・晃司と一花は元の時代に戻ってから初めてのキスをしたのであった・・


一花「星が綺麗」


晃司「ほんとやね」


     晃司と一花は空を見上げると流れ星が流れたのであった。

     二人は同じお願いをした。

     いつまでもこの人と一緒にいれますようにと。

------------------------------------------------------------------------------------------------これにてこの物語は、終了します。

続編として、このサイトの同IDに、この続編の「業火の第二次世界」を週筆しました。

こちらもお読み頂ければ嬉しく思いますので、宜しくお願い致します。。

それと、何度か紹介させて頂いて恐縮ですが、YOUTUBE動画作製を始めたことを紹介させて頂きます。

名前は シャリアちゃんねる です。

シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。

URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。

皆さんご存じと思っていて、意外と知ってられなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。

良かったらこちらもご覧ください。

主に政治系歴史系をアップしています。

小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。

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